かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

北朝鮮竹島イラン旅行記
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ほん

『スマホ脳』(アンデシュ・ハンセン)

【目次】 ヒトはデジタル社会向けに進化していない 日々の実践こそ ヒトはデジタル社会向けに進化していない スマホ脳(新潮新書) 作者:アンデシュ・ハンセン 新潮社 Amazon 著名なスウェーデンの精神科医が、スマホの人間の脳や精神状態への影響を紹介した…

親子の2021年4・5月読書「月間賞」

私の分から。 4月『アフター・ヴィクトリー』(アイケンベリー) canarykanariiya.hatenadiary.jp ナポレオン戦争と両世界大戦、さらには冷戦の後を比較しながら戦後構築を語る、という視座が非常に興味深く、現在の国際政治を考える上でも示唆深い議論を展…

「経済成長に成功すると自分の身が危うくなる」ジレンマ/『独裁が揺らぐとき』(大澤傑)

【目次】 軍部と政党・社会への統制から類型化 経済成長に導く独裁者のジレンマ 金正恩は「金主」や「ジャンマダン」を掌握できるか 独裁が揺らぐとき:個人支配体制の比較政治 (MINERVA人文・社会科学叢書 236) 作者:大澤 傑 ミネルヴァ書房 Amazon 軍部と政…

比較政治学の必読書/『民主主義対民主主義』(レイプハルト)

【目次】 民主主義制度は2類型に分けられる 「多数決型」対「コンセンサス型」 政治改革のグランドデザインを 民主主義対民主主義 [原著第2版]: 多数決型とコンセンサス型の36カ国比較研究 (ポリティカル・サイエンス・クラシックス) 作者:アレンド レイプハ…

対米開戦にインパール作戦、歴史の教訓に見る「囚人のジレンマ」/『昭和史講義3』、『昭和史講義 軍人編』、『東條英機』(一ノ瀬俊也)

【目次】 田中義一はレーニンと会っていた? 皇道派対策だった軍部大臣現役武官制 「カミソリ東條」の凡庸さ 東條に一蹴された佐藤賢了の提案 「阿吽の呼吸」が機能しなかったインパール作戦 大人買いした歴史講義シリーズの最後に、昭和戦前史における政軍…

『韓国語の語源図鑑』(阪堂千津子)

一度見たら忘れない! 韓国語の語源図鑑 作者:阪堂千津子 発売日: 2021/04/07 メディア: Kindle版 共通の語源や由来のある韓国語の語彙をまとめて紹介する本です。英語版も話題になったシリーズですね。 どの言語も、ある語彙にもともとあった意味に別のもの…

『戦争とは何か』(多湖淳)

【目次】 データで分析する「戦争と平和」 将来、日本が戦争する確率は? 戦争とは何か 国際政治学の挑戦 (中公新書) 作者:多湖淳 発売日: 2020/06/12 メディア: Kindle版 データで分析する「戦争と平和」 戦争の勃発から終結、平和維持といった事象をデータ…

『アフター・ヴィクトリー』(ジョン・アイケンベリー)

【目次】 戦勝国は意識的に「自重」した 「偉大なアメリカ」とは? アフター・ヴィクトリー―戦後構築の論理と行動 (叢書「世界認識の最前線」) 作者:G.ジョン アイケンベリー 発売日: 2004/08/01 メディア: 単行本 戦勝国は意識的に「自重」した ナポレオン…

2020年9月〜21年3月の読書「月間賞」

こちらのコーナー、すっかり更新を怠っておりました。 もう子供達の分をフォローすることはできなさそうで須賀、せめて自分の読書の思い出だけでも簡単に振り返ろうと思います。 2020年9月 『観応の擾乱』(亀田俊和) 足利兄弟らの群像を生き生きと描きなが…

『メディアが動かすアメリカ』(渡辺将人)

メディアが動かすアメリカ ――民主政治とジャーナリズム (ちくま新書) 作者:将人, 渡辺 発売日: 2020/09/09 メディア: 新書 アメリカの下院議員事務所や大統領選挙のニューヨーク州支部、テレ東記者などを経て現在はアメリカ政治を研究する著者が、同国のメデ…

鼠は猫を噛みながら、弱い者いじめに走る/『民衆暴力』(藤野裕子)

【目次】 「ええじゃないか」から朝鮮人虐殺まで 国家による暴力独占とその例外 暴力を振るう人間のありように迫る 民衆暴力―一揆・暴動・虐殺の日本近代 (中公新書) 作者:藤野裕子 発売日: 2021/01/15 メディア: Kindle版 「ええじゃないか」から朝鮮人虐殺…

『「家族の幸せ」の経済学』(山口慎太郎)

【目次】 「分からない」と言うことの大切さ 注目の影に「自助」の風潮 「家族の幸せ」の経済学 データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実 (光文社新書) 作者:山口 慎太郎 発売日: 2019/07/17 メディア: 新書 「分からない」と言うことの大切さ 結婚、…

35年前にゴジラが訪朝?/『ゴジラが見た北朝鮮』(薩摩剣八郎)、『麦酒とテポドン』(文聖姫)

【目次】 拉致された名監督による怪獣映画 日朝映画史に残る一冊 麦酒とテポドンのトレードオフ ゴジラが見た北朝鮮―金正日映画に主演した怪獣役者の世にも不思議な体験記 作者:薩摩 剣八郎 発売日: 1988/10/01 メディア: 単行本 拉致された名監督による怪獣…

被爆者と被爆体験に迫る衝撃の一冊/『未来からの遺言』(伊藤明彦)

未来からの遺言――ある被爆者体験の伝記 (岩波現代文庫) 作者:伊藤 明彦 発売日: 2012/07/19 メディア: 文庫 長崎のラジオ記者時代から1000人以上の被爆者に会い、その音声を記録し続けてきた著者が、最も印象的だった男性「吉野さん」との出会いから別れまで…

発覚直前に決行された五・一五事件/『昭和史講義』『昭和史講義2』

【目次】 近年の昭和史研究水準をフォロー 時代の雰囲気を理解する 現在の「奇習」を相対化する 昭和史講義 ──最新研究で見る戦争への道 (ちくま新書) 発売日: 2016/09/02 メディア: Kindle版 昭和史講義2 ──専門研究者が見る戦争への道 (ちくま新書) 発売…

デジタル報道の可能的様態/『デジタル・ジャーナリズムは稼げるか』(ジェフ・ジャービス)

【目次】 メディアはサービス業になれ 腹落ちしないのは当たり前 デジタルの可能的様態 「双方向性2.0」へ デジタル・ジャーナリズムは稼げるか 作者:ジャービス,ジェフ 発売日: 2016/05/27 メディア: 単行本 メディアはサービス業になれ 一記者として、経営…

『ドリルを売るには穴を売れ』(佐藤義典)

ドリルを売るには穴を売れ 作者:佐藤 義典 発売日: 2006/12/23 メディア: 単行本(ソフトカバー) マーケティングの非常に有名な言葉を書名にとった入門書です。新聞社で細々とマーケティングに関わっていることもあり、人の勧めで読みました。 非常にシンプ…

知られざる伊藤博文の憲法改革とその結末/『伊藤博文』(瀧井一博)、『明治憲法史』(坂野潤治)

【目次】 「無定見」な伊藤博文の政治思想 山県有朋との「頂上対決」 天皇機関説が後年に「炎上」した理由 元老が制度化していたら… 「無定見」な伊藤博文の政治思想 伊藤博文 知の政治家 (中公新書) 作者:瀧井一博 発売日: 2014/07/11 メディア: Kindle版 …

「公議」とポリアーキー/『維新史再考』(三谷博)、『明治史講義』

【目次】 一橋派と一橋慶喜のオセロゲーム 「公議」とポリアーキー 網羅性の高い20章 維新史再考 公議・王政から集権・脱身分化へ NHKブックス 作者:三谷 博 発売日: 2018/01/26 メディア: Kindle版 一橋派と一橋慶喜のオセロゲーム 「公議」をキーワード…

「真面目なおじさん」による仕事論/『変なおじさん 完全版』(志村けん)

【目次】 「真面目なおじさん」の仕事論 「変なおじさん」だと笑ってあげたい 変なおじさん【完全版】 (新潮文庫) 作者:けん, 志村 発売日: 2002/09/30 メディア: 文庫 「変なおじさん」「バカ殿」などのキャラクターで知られるコメディアン志村けんの自伝で…

『戦国の忍び』(平山優)/忍者の正体は中世のアウトローだった?

【目次】 「Ninja」ではない忍びの実像 アウトローとしての忍び 「釣り野伏」「捨てがまり」との関係は 戦国の忍び (角川新書) 作者:平山 優 発売日: 2020/09/10 メディア: Kindle版 「Ninja」ではない忍びの実像 戦国時代の膨大な史料を操りつつ、「忍び」…

『やばいデジタル』(NHKスペシャル取材班)/キーワードは「透明性」

やばいデジタル “現実”が飲み込まれる日 (講談社現代新書) 作者:NHKスペシャル取材班 発売日: 2020/11/18 メディア: Kindle版 4月に放送されたNHKスペシャルを書籍化したものです。 デジタルの世界におけるフェイクとプライバシーの問題は、特にこのコロ…

『パチンコ』(ミンジンリー)/たまたま訪ねていた「舞台」の100年後

【目次】 米国で大反響の理由 在日コリアンの歴史を網羅 たまたま訪ねていた「舞台」の100年後 パチンコ 上 作者:リー,ミン・ジン 発売日: 2020/07/30 メディア: 単行本 パチンコ 下 作者:リー,ミン・ジン 発売日: 2020/07/30 メディア: 単行本 米国で大反響…

北朝鮮版Amazonから日朝関係まで/『北朝鮮を知るための55章』(石坂浩一編著)

北朝鮮を知るための55章【第2版】 (エリア・スタディーズ) 作者:石坂 浩一,大島 裕史,太田 修,喜多 恵美子,布袋 敏博,文 浩一,門間 貴志,山根 俊郎 発売日: 2019/05/12 メディア: 単行本(ソフトカバー) 政治経済、国際関係、社会文化、日朝関係など、北朝…

ベストセラー『FACTFULNESS』が「説教臭くない」理由

【目次】 過剰にドラマチックな世界観を生む「10の思い込み」 私の失敗エピソード:「察し」でクイズに正解しすぎた FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣 作者:ハンス・ロスリング,オーラ・ロスリング…

『コロナ後の世界』『コロナ後の世界を生きる』/個々の人間の価値をいかに守るか

【目次】 キャラ立ちの文春版、不揃いな岩波版 「何が変わるか」より「何を変え、何を守るか」 個々の人間の価値尊重こそ コロナ後の世界 (文春新書) 作者:ジャレド・ダイアモンド,ポール・クルーグマン,リンダ・グラットン,マックス・テグマーク,スティーブ…

『静かに、ねぇ、静かに』(本谷有希子)/「ツイッタランド」の分断を連想

【目次】 「本当の旅」連想したツイッタランドの分断 本質や客観なんてないけど、完全に開き直っていいわけではない 「本谷ワールド」を楽しめる3作 静かに、ねぇ、静かに (講談社文庫) 作者:本谷有希子 発売日: 2020/10/15 メディア: Kindle版 短編三つを収…

『世界のエリートが学んでいるMBA必読書50冊を1冊にまとめてみた』(永井孝尚)/初学者のよき道標

世界のエリートが学んでいるMBA必読書50冊を1冊にまとめてみた 作者:永井孝尚 発売日: 2019/04/24 メディア: 単行本 書名通りの一冊です。戦略、顧客とイノベーション、起業と新規事業、マーケティング、リーダーシップと組織、人(行動経済学や心理学など)…

育休中パパが語る「私の職場の雰囲気」/『男性育休の困難』(齋藤早苗)

【目次】 時間意識に着目し広く論じる 取得者が語る「私の職場の雰囲気」 男性育休の困難 取得を阻む「職場の雰囲気」 作者:齋藤 早苗 発売日: 2020/08/21 メディア: 単行本 時間意識に着目し広く論じる 男性育休取得を妨げているのは、仕事優先の時間意識を…

統計学の「超」入門書と分析の心構え/『完全独習 統計学入門』(小島寛之)、『マンガでわかる統計学』(高橋信)、『会社を変える分析の力』(河本薫)

統計学と、それに基づいたデータ分析のお勉強その二です。その一はこちら。 canarykanariiya.hatenadiary.jp 【目次】 優れた統計学の「超」入門書 データ分析を仕事にどう生かすか 優れた統計学の「超」入門書 完全独習 統計学入門 作者:小島 寛之 発売日: …