かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

北朝鮮竹島イラン旅行記
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ほん

育休中パパが語る「私の職場の雰囲気」/『男性育休の困難』(齋藤早苗)

【目次】 時間意識に着目し広く論じる 取得者が語る「私の職場の雰囲気」 男性育休の困難 取得を阻む「職場の雰囲気」 作者:齋藤 早苗 発売日: 2020/08/21 メディア: 単行本 時間意識に着目し広く論じる 男性育休取得を妨げているのは、仕事優先の時間意識を…

統計学の「超」入門書と分析の心構え/『完全独習 統計学入門』(小島寛之)、『マンガでわかる統計学』(高橋信)、『会社を変える分析の力』(河本薫)

統計学と、それに基づいたデータ分析のお勉強その二です。その一はこちら。 canarykanariiya.hatenadiary.jp 【目次】 優れた統計学の「超」入門書 データ分析を仕事にどう生かすか 優れた統計学の「超」入門書 完全独習 統計学入門 作者:小島 寛之 発売日: …

皇位継承を保ち、「夜の関白」を生んだ政治形態/『院政』(美川圭)、『院政』(本郷恵子)

【目次】 天皇家の家長として 「ウジからイエへ」との関わりは 「夜の関白」が抱えたギャップ まず読むなら美川版 院政―もうひとつの天皇制 (中公新書) 作者:美川 圭 発売日: 2006/10/01 メディア: 新書 院政 天皇と上皇の日本史 (講談社現代新書) 作者:本郷…

『文系のための統計学の教室』(涌井良幸・貞美)、『統計学が最強の学問である』(西内啓)

ただ今育休のど真ん中にいるわけで須賀、新聞社では「データマーケティング」と呼ばれるような業務も担当していまして、一つくらい勉強をと思い読んでみました。 【目次】 『文系のための統計学の教室』 『統計学が最強の学問である』 『文系のための統計学…

足利尊氏・直義はやっぱり名コンビ/『観応の擾乱』(亀田俊和)、『中世史講義』、『中世史講義 戦乱編』

【目次】 中世史講義&戦乱編 観応の擾乱 中世史講義&戦乱編 中世史講義 ──院政期から戦国時代まで (ちくま新書) 作者:高橋典幸,五味文彦 発売日: 2019/01/25 メディア: Kindle版 中世史講義【戦乱篇】 (ちくま新書) 作者:高橋典幸 発売日: 2020/04/17 メデ…

妹も勝手にデビュー/親子の2020年8月読書「月間賞」

canarykanariiya.hatenadiary.jp 私は図書館で借りたこちらの本。酒や居酒屋の歴史でありながら、戦後社会そのものの切り口をも提示しており、「酒文化」自体がいかに身近なものであるかも感じさせてくれます。そしてそれがコロナ禍を経てどう展開していくか…

ドラゴンボール・セルの吸収シーンを思い出した/『性食考』(赤坂憲雄)、『異類婚姻譚』(本谷有希子)

性食考 作者:赤坂 憲雄 発売日: 2017/07/26 メディア: 単行本 異類婚姻譚 (講談社文庫) 作者:本谷 有希子 発売日: 2018/10/16 メディア: ペーパーバック 友人との読書会のお題でした。『性食考』に異類婚姻譚についての分析もあり、一緒に読んでみましたが毛…

小惑星の衝突で死ぬ確率は散歩43キロ分と同じ/『もうダメかもー死ぬ確率の統計学』(マイケル・ブラストランドなど)

もうダメかも――死ぬ確率の統計学 作者:マイケル・ブラストランド,デイヴィッド・シュピーゲルハルター 発売日: 2020/05/15 メディア: Kindle版 不慮の出来事から生活習慣まで、人命に関わる様々なリスクを指標化して表現しつつ、一方でその意味するところを…

『ペスト』(カミュ)/分断でなく連帯のために

ペスト(新潮文庫) 作者:カミュ 発売日: 2017/03/10 メディア: Kindle版 1947年に発表されたこの小説には、新型コロナウイルスの世界的流行を受け、再び注目が集まるようになりました。作品に描かれたパンデミックの様相が、2020年に世界各地で起こったこと…

『古代史講義』『古代史講義 戦乱編』/「排仏派」でなかった物部氏、「薬子の変」とはもう呼ばない?

古代史講義 ──邪馬台国から平安時代まで (ちくま新書) 発売日: 2018/01/26 メディア: Kindle版 古代史講義【戦乱篇】 (ちくま新書) 作者:佐藤信 発売日: 2019/03/22 メディア: Kindle版 歴史講義シリーズの古代編2冊をまとめて。 www.chikumashobo.co.jp 邪…

『考古学講義』(北條芳隆編)・『新版 日本人になった祖先たち』(篠田謙一)/いい意味で教科書を書き換える成果に期待

考古学講義 (ちくま新書) 作者:北條芳隆 発売日: 2019/05/24 メディア: Kindle版 今さらシリーズの評判を聞きつけ、大人買いして読んでみました。 www.chikumashobo.co.jp この『考古学講義』の各論文では、縄文時代のクリやダイズ栽培や、紀元前8世紀が有力…

『テレワーク大全』(日経BP総合研究所イノベーションICTラボ)

テレワーク大全 発売日: 2020/06/04 メディア: Kindle版 テレワーク推進に必要な準備やノウハウ、先進企業の事例などを紹介する本です。内容的に「大全」というよりは、雑多な内容を含むTips集という表現の方が近い気がします。 「テレワークあるある」的な…

「とりあえずビール」のルーツは戦中のビール配給制?/『居酒屋の戦後史』(橋本健二)

居酒屋の戦後史 (祥伝社新書) 作者:橋本 健二 発売日: 2015/12/02 メディア: 新書 社会学を専門とする著者が、「フィールドワーク」を交えながら戦後の酒文化・居酒屋文化を分析し紹介する本です。 ▽戦前の屋台をルーツに持つ闇市が、やがて駅前に移転するな…

『英単語の語源図鑑』(清水建二、すずきひろし)/楽しく学ぶモチベーションに

英単語の語源図鑑 作者:清水建二,すずきひろし 発売日: 2018/05/23 メディア: Kindle版 英単語の語源を紹介しながら、語彙を増やすことを目指す本です。 例えば「attraction」という一つの単語は、「at」(〜の方へ、を意味する接頭辞)「tract」(引く、を…

親子の2020年7月読書「月間賞」

長男はこちら。 かいけつゾロリのレッドダイヤをさがせ!!: かいけつゾロリシリーズ67 (かいけつゾロリシリーズ 67) 作者:原 ゆたか,原 京子 発売日: 2020/06/25 メディア: 単行本 大好きなゾロリシリーズの最新刊です。本人曰く、「怪しい人がたくさん出てき…

写真のカラー化で蘇る記憶/『AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争』(庭田杏珠、渡邉英徳)

AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争 (光文社新書) 作者:庭田 杏珠,渡邊 英徳 発売日: 2020/07/24 メディア: Kindle版 広島を中心とした戦前・戦後の白黒写真を、AIなどでカラー化して紹介する写真集です。AIでカラー化する技術的な手法にはあま…

親子の2020年5・6月読書「月間賞」

5月は長男とほとんど一緒に過ごせなかったので、6月分のみ選びます。 コロコロコミック 2020年 07 月号 [雑誌] 発売日: 2020/06/15 メディア: 雑誌 4月くらいからコロコロコミックがお気に入りで、いろんな作品を読み込んでいます。デュエマはこの雑誌で知っ…

5G、サイバー攻撃されたらどうなる?/『5G』(森川博之)

5G 次世代移動通信規格の可能性 (岩波新書) 作者:森川 博之 発売日: 2020/04/18 メディア: 新書 5Gの本格的なサービス開始を控え、その技術的な特色や展望を学べる本です。 超高速・低遅延・多数同時接続が特徴で、IoTを通じてあらゆる産業に応用可能な点、5…

「主力艦7隻の損害で、敵の127隻を葬った」ー大本営発表、問題の孕む現代性/『大本営発表』(辻田真佐憲)

大本営発表 改竄・隠蔽・捏造の太平洋戦争 (幻冬舎新書) 作者:辻田真佐憲 発売日: 2016/07/28 メディア: Kindle版 日中戦争から敗戦に至るまでの大本営発表について、時期ごとの変容、発出の仕組み、そこに潜む構造的問題などをバランスよく論じた好著です。…

名無しの男たちへの告発の書/『82年生まれ、キム・ジヨン』(チョ・ナムジュ)

82年生まれ、キム・ジヨン (単行本) 作者:チョ・ナムジュ 発売日: 2018/12/07 メディア: 単行本(ソフトカバー) 1982年生まれの韓国女性に最も多い名前とされる「キム・ジヨン」という登場人物に仮託して、韓国社会における女性の「生きづらさ」を告発した…

ググレカスを凌駕する西洋哲学のベストセラー/『ソフィーの世界』(ヨースタイン・ゴルデル)

ソフィーの世界 哲学者からの不思議な手紙 作者:ヨースタイン ゴルデル 発売日: 1995/06/01 メディア: 単行本 約25年前の世界的ベストセラーです。15歳を迎えるノルウェーの少女・ソフィーを巡るファンタジー小説でありながら、西洋の哲学史を平易に解説して…

『哲学用語図鑑』(田中正人)

哲学用語図鑑 作者:田中正人 発売日: 2015/02/26 メディア: 単行本(ソフトカバー) 何年か前に買ったきりだった本を、改めて眺めてみました。著名な哲学者やその思想・概念などを、イラストを中心に解説した本です。ただ単に用語解説をするだけでなく、背景…

『西洋政治思想史』『現代政治理論』

西洋政治思想史 (有斐閣アルマ) 作者:宇野 重規 発売日: 2013/10/21 メディア: 単行本(ソフトカバー) 現代政治理論 新版 (有斐閣アルマ) 発売日: 2012/03/26 メディア: 単行本(ソフトカバー) 流れで2冊読んでみました。内容はタイトルそのままでして、『…

親子の2020年4月読書「月間賞」

canarykanariiya.hatenadiary.jp 非常に時事的なチョイスで須賀、私はこちら。 新型コロナウイルスも、天然痘のように地上から「撲滅」されることは恐らく考えられず、やがて多くの人が免疫を獲得するなどして「ありふれた病気」になっていくのでしょう。そ…

「コロナ」と「コロナ後」を射程に収める名著/『疫病と世界史』(ウィリアム・マクニール)

疫病と世界史 上 (中公文庫 マ 10-1) 作者:ウィリアム・H. マクニール 発売日: 2007/12/01 メディア: 文庫 疫病と世界史 下 (中公文庫 マ 10-2) 作者:ウィリアム・H. マクニール 発売日: 2007/12/01 メディア: 文庫 我々の祖先がアフリカの熱帯雨林を離れて…

『追跡 金正男暗殺』(乗京真知、朝日新聞取材班)

追跡 金正男暗殺 作者:真知, 乗京,朝日新聞取材班 発売日: 2020/01/30 メディア: 単行本 白昼の国際空港で繰り広げられた俺たちの正男金正男の暗殺劇を追った、朝日新聞のウェブ連載をまとめたものです。金正男の直前の足取り、実行犯とされた2人の女性たち…

韓非子からコロナウイルスまで/『韓非子』(常石茂訳)

韓非子 作者:常石茂訳 発売日: 1968/01/01 メディア: 単行本(ソフトカバー) 中国・戦国時代の法家を代表する思想家、韓非子の著作とされるものです。「されるもの」というのは、後世の人の加筆とみられる箇所も多い点を踏まえた留保です。 マンガ孫子・韓…

新書の2類型について/親子の2020年3月読書「月間賞」

長男はこちらのようです。 かいけつゾロリのようかい大リーグ (33) (かいけつゾロリシリーズ ポプラ社の新・小さな童話) 作者:原 ゆたか 発売日: 2003/07/01 メディア: 単行本 大好きな祖父に買ってもらったということもあるで生姜、「ゾロリの中で一番面白…

政治スタイルに「諸刃の剣」も/『島津斉彬』(芳即正)

島津斉彬 (人物叢書) 作者:芳 即正 発売日: 1993/11/01 メディア: 単行本 幕末の四賢侯に数えられ、西郷隆盛らを登用した薩摩藩主・島津斉彬の伝記です。 大局観に優れた人物で、また人材育成や産業振興を進めた業績は、明治維新後の殖産興業のさきがけとも…

『テクノロジー思考』(蛯原健)

テクノロジー思考 技術の価値を理解するための「現代の教養」 作者:蛯原 健 発売日: 2019/08/08 メディア: 単行本(ソフトカバー) 「近年において世界のあらゆる事象、組織、そして人間にテクノロジーが深く関与し、また支配的な存在として強い影響を与えて…