かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

北朝鮮竹島イラン旅行記
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2歳児とソウル男旅〜一日目・早速デモに出くわす

0日目まで

優しさを装った排除の論理

11月11〜13日、韓国はソウルに行ってまいりました。土日+1日といういかにも「週末ソウル!」的なノリの旅行に見えるかもしれませんが、果たしてその通りです。執筆時点ではかなり遠のいたという認識で須賀、発案した頃は、年明け早々の解散総選挙がかなり言われていました。なら、11月の新聞休刊日*1を絡めてちょっとどこか行って来てやろう。鈍行列車とかに乗って国内をさすらうのも面白そうだけど、ソウル台北くらいだったらお里に帰るのとも大差ないんじゃない? そんなところでソウルに行くことにしました。台北にしなかった理由は、台湾に行くならもうちょっと時間を掛けて、行ったことのない中部や南部に行きたかったからです。ソウルには、日帰り範囲内に行きたい場所がいくつかありました。
まぁ、その辺の経過は特段縷々お話しするほどのことでもないで生姜、参加メンバーについては説明が必要かもしれません。今回は私と友人、そして長男(2歳5カ月)の野郎3人で行ってきました。そこに細君がいない理由は、純粋に日程が合わなかったことはもちろんありますけれども、あえてそうした、という部分もありました。日程が合わないからリスケしよう、としなかった理由の一つは、彼女に1人の時間を作ってあげたかったからです。彼女は長男のことが大好きですし、私よりもずっと上手に、長男との時間を楽しむことができます。とはいえ、長男が生まれて2年半近く、1人を満喫できる日がほとんど*2ないというのも気詰まりだろうと思っていました。少なくとも私には、こうやって雑文をパタパタ打ち込める時間はありますし、ここにはちゃんと書かなかったで須賀、ちょうど1年ほど前で須賀、当時シンガポール赴任中の友人のところに家族そっちのけで訪ねて行って、ひっくり返るくらい酒を飲んで須賀須賀しい朝を迎えたなんてこともありました。「まあ、2・3日くらい1人でしかできないことをしなよ」。そんなつもりでいました。
ただしかし本当にそれで大丈夫なのかという問題はありますね(笑) もちろん長男を「厄介払い」するために海外に連れて行くわけではないし、そうあってはなりませんので、彼にとっても安全で楽しい旅行にしなければいけません。本当に父子2人であっても、お互いの許す範囲で旅を進めていくしかないんですけれども、それなり以上によく見る顔が集うある酒席でその話をした時、「じゃあ僕も」と言ってくれたのが今回同行した友人でした。海外もソウルも慣れている、頼れる男です。ちなみにこれはこの先お話しする中で関係する一幕があるので言っておくと、やや広い意味になるのかもしれませんが、お互い同郷の出身です。
前フリはもういいですかね、この辺でやめておきましょう。

0日目

本当にたまたま、職場の人繰り上の理由で休みになりました。最初から知っていれば(ry
国際面を担当していた前々日はトランプ祭りで、帰宅タクシーの中でビールをぐびぐび飲んだりもしていたので、旅行出発前日たる10日は平気で昼寝とかしていました。夜は家族3人で鍋を囲んで晩酌。「土曜の夜はすること決まってないんだよね」なんてちょっと楽しげに(?)言っていた細君で須賀、なんだかやっぱり心配顔ではありました。

デモとナンタを「見物」

日本酒を飲んでLCC

支度はどちらかというと早朝にやって*3、通勤電車に揉まれ出発。空港で早めの昼食をいただき、私は勢い余ってビールに日本酒と杯を重ねてしまいました。
飛行機は初めてLCCイースター航空を利用したので須賀、機内でお水も出ましたし、国内線だと思って乗れば全く違和感ありませんでした。ベビーカーも搭乗口で預かってくれて、降りたらすぐ準備されていました。ただまあ機内放送の類はありませんでしたので、3人そろってお昼寝の時間となりました。長男は割と自然に寝てくれたので、フライト時間のお相手という意味でも、その後の旅程でもうひと頑張りしてもらうという意味でも非常に助かりました。
到着した仁川国際空港では、ターミナル間を電車移動。

時間も限られているので、空港からは特急でソウル市内へ…と思ったので須賀、ダイヤとタイミングが合わず一般電車で向かうことにしました。いわゆるA’REXというやつで須賀、前回ソウルに来た時にはソウル駅まではつながっていませんでしたね。結局1時間ほどずっと乗っていました。

ソウル駅の乗り換えに辟易

車中では例の如く、絵本を読んだりして長男とおしゃべりしていたら、隣に座ったおじいさんが「この子は何歳ですか?2歳にしては賢い子ですね」と日本語で話しかけてきました。しゃべっている様子を見てそう言ってくれたのだと思いま須賀、韓国では子供の年齢も数え年*4だそうなので、その辺の認識の齟齬があったのでしょう。親バカではない(あるいは、「親」のつかないただのバカである)ことを強調するために念のため言うと、彼の保育園の同級生も、おしゃべりについては同じようなものです、多分。
それはともかく、突然片言でない日本語で話しかけられたのにちょっと興味を持った私は「日本語がお上手ですね」と水を向けてみたので須賀、彼は少し笑って特に返事をしませんでした。風貌的には70代半ばくらいの印象だったので須賀、学校などで日本語を学んだ・学ばされた経験があるのでしょうか。そんなこともふと脳裏をよぎり、それ以上深く聞くことはしませんでした。
ソウル駅に着いたのが午後4時15分ごろ。日本で言うところの東京駅に相当する駅なので覚悟はしていたので須賀、やっぱり乗り換えが大変でした。さすがにエレベーターはいくつか設置されていたので須賀、行きたい路線のホームまでベビーカーを押したまま辿りつけるまでにはなっていなかったように思います。そうなるとベビーカーを抱えて階段を上り下りするなり、長男をいちいちベビーカーから降ろして昇降を見守ったりしなければならないわけで、乗り換える路線のホームに着いた時には心身ともに疲れ果ててしまいました。その反面、上り階段で一緒にベビーカーを支えてくれる通行客も多く、この旅行を通じて何度も助けていただきました。
鐘路3街の駅からすぐの宿にチェックインしたのは午後5時ごろ。30代半ばくらいでしょうか、気のよさそうなお兄さんが対応してくれました。手に持っていたペペロ(日本でいうところのポッキー)を長男にあげながら、「今日は11月11日だからペペロの日なんだよ。恋人に贈ったりもするんだけど、日本にもある?」。「確かに日本でも『ポッキーの日』が今日みたいだけど、恋人に贈ったりはしないですね」と返事をしましたが、韓国のペペロの日と日本のポッキーの日では、かなりテンションが違うということがこの後徐々に明らかになっていきます。

探し物はデモですか?

簡単に荷解きをして、5時半ごろ再び宿を出ます。また難儀な乗り換えをして、光化門の駅に降り立ちます。

日本の方角を凝視する李舜臣像を後ろから拝み、

世宗大王像の足元をすり抜けて、目指した場所は…「特にないです。別に」
この日は午後8時から、明洞でナンタ公演を予約していました。なのでそれまでに夕飯が食べられればいいかなという程度で、特に目的地を決めずにぶらぶら散策していたので須賀、お目当ての場所はなくても、お目当てのモノは厳然としてありました。もしかしたらないかもしれないし、あったとしても遭遇できないかもしれないけど、ちょっと探しながら歩いてみよう。そんなノリで適当に進んでいくと…

おや、あの人だかりは…?

おっ、機動隊だ!彼らに紛れつつ南進してみましょう。



おおっ!やってるやってる!


これが日本の巷でも噂になっている、朴槿恵大統領の退陣を求めるデモですね。赤いプラカードに一文字ずつ書かれている文言はまさに「朴槿恵退陣」です。何やら葬列のような(まさに)デモンストレーションもあり、白装束の人たちが寝転んだりしているのはさすがにちょっと異様でした。ちなみに、関係があるのかどうか分かりませんが、前半の若者たちはどこかの学生の集まりのようでした。
念のため、念のため事実関係を言っておくと、退陣デモを見るために韓国に来たわけではありません(笑)  例の崔順実容疑者と絡んだ国政介入疑惑が日本で報じられるようになった前から日程は決まっていました。ただ、そんなタイミングで行くことになったからには見に行くしかないよね、ということで、これまでの大規模デモが行われた光化門周辺でそれらしきものを探していたのは事実です。興奮して写真を撮りまくっている様子に、友人は悪意を込めてか「ジャーナリストですね」と笑っていましたが、これはもう純然たる野次馬根性のなせる業でありまして、逆にそうでなければ、南にある明洞に行くのに真西の光化門で降りたりはしなかったような気がします。

ナンタのリズムが子守唄?

明洞周辺に着いたのは午後7時ごろ。本当は焼肉でも食べながら軽くビールを…と話していたので須賀、そういえば両替もしていなかったことを考えると、そこまでの時間はなさそうです。夕飯は食堂でビビンバやチャーハン、目玉焼き乗せご飯と、お手頃な感じで頂きました。結構辛かったですけどね(笑)
それから両替(10000円→108500ウォン)を済ませ、開演ギリギリにナンタ劇場着。ここでも1人1人に巨大ペペロを配っていました*5。ナンタについてはこれまで説明しそびれていましたが、韓国の伝統音楽のリズムを現代風にアレンジして、キッチンであれやこれやを乱打(ナンタ)するコミカルな無言劇です*6。最低何か一つくらいは、長男が興味を持ってくれそうなプログラムを組み込んであげたいという、悪く言えばアリバイ工作的な(?)父親の発案です。
上演時間は1時間40分ほどでしたが、現実の時間の流れと劇中のそれが(多分)リンクするような仕掛けもあり、興味深かったです。結構音が大きくて、2歳児的にはそこが気になりはしたので須賀、コミカルな掛け合いや会場との絡みなど、楽しく見ることができました。ちなみに何となく予感はしていたので須賀、長男は午後9時ごろに就寝。幼児無料だった代わりに膝上での観覧だったので、最後の10分ほどはお尻が痛かったです(笑) それはそうとしても、途中で寝てしまったとはいえ長男に与えた印象は大きかったようで、翌朝「昨日は何が楽しかった?」と聞いた時も「太鼓」と答えていましたし、この時に巨大ペペロをもらったことを、1週間ほど経った後も覚えていました。チームブラックの俳優さんたちでしたが、マネージャーがいいキャラでした。
終演後は、えっちらおっちらベビーカーを押したり持ち上げたりしてなんとか宿へ。
コンビニでお酒を買って飲んで寝たんで須賀、最も存在感を放っていたのはペットボトル入りの薄いキャス(CASS)ビールでも少女時代ハイトでもなく、飲み過ぎるとプーチン閣下の後輩たちに抹殺されそうな「KGB LEMON」でした。

こうして過ぎゆく1日目の夜でありました。

*1:13日は新聞を作らず、14日付を発行しませんでした。常識的に言えばお客さんに新聞が届かない14日が「新聞休刊日」のはずで須賀、内向きな新聞業界(少なくとも私が在籍する会社)では、新聞を作らない日が「休刊日」と呼ばれ、多くの出稿部門の記者が休み、ほとんどの整理部記者が休みます

*2:夏に温泉に1泊しに行ってましたけどw

*3:出発当日の朝起きてから触るようなものを、あれこれするうちに忘れていってしまったことがあるので、最近はなるべくそうしています

*4:なので長男は3歳児として扱われることになります

*5:街中では、コンビニの店頭にズラッと並んでいる光景とか、若い男の人がリボン付きで小奇麗に包装されたペペロを小脇に抱えているのも見ました。大々的なんですね

*6:詳しくはhttp://nanta.i-pmc.co.kr/Nanta/jp/About/AboutNanta.aspx参照