【目次】
データで分析する「戦争と平和」
戦争の勃発から終結、平和維持といった事象をデータで分析し、その要因から将来のあり方までを探る「科学的な」国際政治学を平易に解説した本です。
まずは古今東西の紛争をデータに落とし込む*1ところから始まり、お互い合理的なら高コスト過ぎるはずの戦争がなぜ起こるのか、どういう国家(間関係)だと戦争が起きにくいのか、さらには戦争の予想は可能か、といったテーマを論じていきます。
将来、日本が戦争する確率は?
さらに、こうした知見を日本や東アジアの今後に当てはめて論じた章も設けられており、こちらも非常に示唆に富んでいます。
「今後6年以内に中国が台湾に侵攻する可能性がある」。米軍高官のそうした発言が最近話題を呼びました。中国と台湾、というより中国と米台の相対的なパワーバランスが中国寄りに変化している場合、予防戦争の論理で事態をエスカレートさせるのは米台の側とされます。既にこの発言自体が、エスカレーションの一環でもあるでしょう。
そのように、場合によってはあまり明るくない展望も多く示されていま須賀、どのような条件や努力が戦争勃発を防ぎ、平和の時間を延ばすのかについても多く言及されています。ちょっとタイトルがベタすぎてかなり損をしている気がしま須賀*2、図表も多くてサクッと読めるので、少しでも関心のある方にはお薦めしたい一冊です。