かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

北朝鮮竹島イラン旅行記
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『西洋政治思想史』『現代政治理論』

 

西洋政治思想史 (有斐閣アルマ)

西洋政治思想史 (有斐閣アルマ)

  • 作者:宇野 重規
  • 発売日: 2013/10/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 
現代政治理論 新版 (有斐閣アルマ)

現代政治理論 新版 (有斐閣アルマ)

  • 発売日: 2012/03/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

流れで2冊読んでみました。内容はタイトルそのままでして、『西洋政治思想史』は古代ギリシアから主に19世紀までを、『現代政治理論』は権力、自由、平等、デモクラシー、リベラリズムといった「古典的な」概念のみならず、ジェンダーエコロジーといった比較的新しいテーマを巡る20世紀の議論を紹介しています。

前者は、時代背景から有名な思想家の議論を紹介し、次につなげていくという流れができていて、読書案内のような軽めの記述でありながら、時代や場所を経た思想のつながりもおぼろげながら見えてくるようになっています。例えばローマ共和政の強みとされた「混合政体」の考え方は、17世紀イングランドのハリントンらを経由して、アメリカ独立の父たちの三権分立論に流れ込む、といった具合です。

一方の後者はテーマごとにしっかり論じられている印象で、相変わらずロールズの『正義論』を巡る論争は読んでいて面白いんですけど、先程「古典的」と表現した政治学おなじみのテーマと、新しいものとがどう呼応しているのか、そこをもっと重視した記述にしてもよいのではないかと思いました。

分量に限りがある以上、個別の論点を教科書的に説明してくれるよりも、縦なり横なりに串を刺すような展開、それによる(意外な)発見があるーという方が、読書体験としては面白いのかなという気がしました。

 

   

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