友人との読書会のお題でした。『性食考』に異類婚姻譚についての分析もあり、一緒に読んでみましたが毛色はかなり違った印象です。
『性食考』は、古今東西の神話や昔話を紐解きながら、性(sex)と食べることの関連について思索を巡らせています。それがどの程度成功しているかについては、参加したメンバーの中でも意見が分かれましたが、性も食も他者との交流・混合である点、それぞれ種と個体の再生産に関わっている点などに起因する共通性は、感覚的にも理解できる気がします。
読みながら思い出したのは、昔、ドラゴンボールのアニメでセルが人造人間17号・18号を吸収するシーンのことでした。番組の協力を見ていた居間には他の家族もいて、なぜだかよくないものを見ているような、恥ずかしい気持ちになったのでした。吸収はセルにとっての食と言え、そこに卑猥な何かを感じたのだとすれば、この本の議論と重なってくるところがあるでしょう。
『異類婚姻譚』は、リアルな描写とSF的急展開のマッチが魅力的な作品を収録しています。著者の劇団での経験が生きている、という指摘には納得させられました。そのストーリーや「喩え」から何を読み取るかはそれぞれの捉え方なのかなと思いま須賀、全体を通じて「これでいいんだろうか」「この日々から抜け出したい」といった日常に対する鬱憤というか、破壊衝動的なものを感じました。恐らくそれは、私自身が何度か襲われたことのある感覚なんですけどね。他の著作にも通じる部分があるそうなので、ぜひ読んでみたいです。
今回は特に、自分一人では手に取らなかったろう本と出会うことができ、複数人で読むことの良さを実感しました。