「近年において世界のあらゆる事象、組織、そして人間にテクノロジーが深く関与し、また支配的な存在として強い影響を与えている事実に焦点を当てた、新しい思考アプローチ」を「テクノロジー思考」と名付け、技術者でない人にこそそれが必要だと説く本です。
デジタルトランスフォーメーション活況の背景には、技術の発展とともに社会的要請がある。そのデジタルトランスフォーメーションは、地方活性化や社会課題解決と一体化しつつある。石油や通信の巨大企業がそうであったように、巨大IT企業が今後規制・分割されることがあっても、長期的には復活を遂げるシナリオもありうるー。欧州や中国、インドの状況なども含めて、興味深いトピックスがいくつも盛り込まれていました。
その一方で、この本で「新しい思考アプローチ」が提示されていたかというと、その点は疑問でした。これまでのイノベーションとインパクトが異なる、という趣旨は理解しま須賀、総じて技術決定論*1的な議論が前面に出ていて、著者が言うところのノンテクノロジストとして身につけるべき汎用性のある思考法だとか、あるいはノンテクノロジストならではの(強みとしての)観点、というところまで話が進んでいかない点は、読後感としてもう一つかなという気がしました。