5Gの本格的なサービス開始を控え、その技術的な特色や展望を学べる本です。
超高速・低遅延・多数同時接続が特徴で、IoTを通じてあらゆる産業に応用可能な点、5Gはそれ自体が目的ではなく、デジタル変革(特にデータ駆動型経済のループ)を構築するための手段である点などが説明されています。その上で著者は、「5Gで何ができるのか」ではなく、「5Gで何をするのか」考えることが重要だと指摘しています。
終盤のテクノロジーの部分は、前提知識のない身からすると追いつくのがちょっと大変でしたが、技術はどう使っていくのかが大事という考え方には共感しました。私としても、ニュースをユーザーに提供する営みの中でどんなことができると面白いか、想像を膨らませることができた気がします*1。
一方で一つ気になったのは、セキュリティの部分でした。この本ではほぼ言及がなかった気がしま須賀、あらゆるモノがインターネットに接続され、そこから得られたデータを回しながら経済が回っていく世の中になるなら、サイバー攻撃によってその情報が盗まれたり、回路が寸断されたりすることの悪影響も段違いに大きなものとなるはずです。その辺の見通しや対策についても、詳しく知りたかったです。
*1:まずは紙面ビューワーを通じて、どの面のどの部分どのくらい読まれているのかが毎日分かれば、作り手側の一方的な思いだけでない「客観性のある」紙面制作につなげられると思います