約25年前の世界的ベストセラーです。15歳を迎えるノルウェーの少女・ソフィーを巡るファンタジー小説でありながら、西洋の哲学史を平易に解説してくれます。
全体を通じて印象的だったのは、様々な概念や用語を説明するたとえの秀逸さでした。身近な例や適切な伏線を多く用いて、それぞれの哲学者が何を考えていたのかを鮮やかに浮かび上がらせています。
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直前に読んだこの本がイラストを交えてやったこと(あるいはそれ以上)を、活字だけで達成してしまった感があります。以前、「ググレカス」という思想家が一斉を風靡した時期もありましたが、彼にはできないーGoogle検索などではなかなか到達できない理解にたどり着ける本だと思います。
また、小説の構成そのものが、読者に知識や説明を与えるだけでなく、読者自身やその世界について考えることを否応なく迫るものになっている点も見逃すことができません。これはネタバレに直結しかねないので詳述は避けま須賀、テレビを見ているいしのようこに志村けん扮する「変なおじさん」が襲いかかる、あのコントを思い出しました。
この本をリアルタイムで読んだという人も身の回りに結構いたようで、中には「この本の影響で哲学科に進んだ」と話す友人もいました。今思えば、小学生がよく読んだなあと唸ってしまうような質・量を兼ね備える大著で須賀、ソフィーと同じ年頃でこの物語にめぐり逢えたのは羨むべきことだとつくづく感じます。