かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

北朝鮮竹島イラン旅行記
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「麒麟がくる」二十六話/阿君丸の悲劇と落日の朝倉家

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阿君丸の悲劇と落日の朝倉家

阿君丸、かわいそうでしたね。

理由は定かではないようで須賀、阿君丸が何者かによって毒殺されたとの説は実際にあるそうです。ドラマでは、朝倉義景の上洛を望まない家中・一門の仕業であると示唆されています。共謀者の名前が回のタイトルになっているというのも凄まじいですけども(笑)

嫡男の死によって無気力状態に陥った義景は、(三淵らの思惑通り)足利義昭が越前を離れることを了承したわけで須賀、その時の捨て台詞も印象的でした。「織田信長ごときが義昭様を支えられるのか」。そう遠くない未来に、その「織田信長ごとき」に攻め滅ぼされてしまうわけですけども…

義景に物言いたげな朝倉景鏡も、ヤな感じが出ていて良い人物造形だと思いました。義景の最期にも、彼が大きな役割を果たします。

ようやく歴史に登場する明智光秀

信長公記』には名前こそ登場しませんが、足利義昭を美濃に迎えるのに明智光秀という人物が一枚噛んだとされています。前半生がはっきりせず、どうしてもフィクションで出番を作っていかねばならない放送回が続いてきましたが、ようやく歴史上の人物としての明智光秀の姿が窺える時期に入ってきました。

娘のたまも6歳になりました。同じく6歳になった細川藤孝の子とは、後にたまと結婚する細川忠興のことであるはずです。この2人の関係、煽ってきますねえ(笑)

 

「麒麟がくる」二十五話/「頑固一徹」稲葉一鉄との再会と因縁

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信長への仕官、断れど…

織田信長への仕官、サクッと断りましたね(笑)

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こちらの本にもあるように、明智光秀は先に足利義昭に仕え、次いで義昭と信長に両属するような期間を経た上で、一般にイメージされているような「信長の重臣」へと出世していきます。義昭にも属していない状態では、ストーリー的に時期尚早といったところでしょうが、その対面でのやり取りは信長に大いに刺激を与え、またお互いにウマが合うところを感じ取ったーという筋書きなのでしょう。

稲葉一鉄との再会と因縁

そして稲葉山城で懐かしい顔も見かけましたね。その稲葉一鉄は「頑固一徹」という言葉の由来になったとされる一本気な人物で、その智略には信長も一目置いていたと伝わっていますので、今回のシーンが示唆するような小狡そうな人物像とはちょっと違う印象を持っていました(当然処世術にも長けていたわけで須賀)。ただ、この稲葉一鉄と光秀の家臣等用を巡るトラブルが、このドラマの結末(つまり本能寺の変)に関わってくるという説もあり、光秀を主役とする以上、史実以上にヒールとしての役回りを負っているのかもしれません。

牧は光秀がセリフで驚くほどの死亡フラグを立てていましたが、どういう扱いになっていくのでしょうか。戦国の世の流れも、光秀の家族のこの先も気になりますね。

足利尊氏・直義はやっぱり名コンビ/『観応の擾乱』(亀田俊和)、『中世史講義』、『中世史講義 戦乱編』

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中世史講義&戦乱編

中世史講義【戦乱篇】 (ちくま新書)

中世史講義【戦乱篇】 (ちくま新書)

 

歴史講義シリーズの中世編です。

中世は、ウジからイエに社会の基本的単位が移り、公家や寺社・武家など有力な諸団体が公的な性格を備えて分立した時代でした。その中で荘園などを巡る権利関係が複雑化し、各地で権益争いが続いていたことが、戦乱が度々全国化する「導火線」となっていたとされます。

そうした時代のさまざまな表情を、2冊計30の論考から明らかにしています。

個人的に興味深かったのは、▽承久の乱後に天皇に即位したことのない守貞親王という人物が「治天の君」(天皇家の家長)となったこと(そうしてまで治天の君が必要とみなされたこと)▽禅宗では今風に言えば寺の「事務方」を担う僧たちも尊重され、水墨画などの文化や算術などに大きな貢献をしたこと▽15世期の鎌倉府を巡る争乱が応仁の乱の一因ともなっていること▽晩年の日野富子が将軍家を代表する人物とみなされていたこと▽文禄の役慶長の役では日本側の戦略的な狙いが違ったこと(前者は敵の完全打倒、後者は領土の一部占領を目指していた)ーなどでした。

やはり戦乱がテーマとなると話が派手で面白いんですけど、それだけではなく、その合戦がなぜ起こって、それが以後の政治や社会にどんな影響を与えたかについてまでしっかり論じているものが多く、非常に勉強になりました。

 

観応の擾乱

その意味では、合わせて読んだこちらも学ぶところが多かったです。

極めて錯綜した推移を辿るため、その説明は私の手には余ります。ただ、先述の要因と影響というところで簡単にまとめるなら、「足利尊氏高師直、次いで足利直義の恩賞配分・訴訟手続きへの不満から、南朝や尊氏の不遇の子・直冬を交え、敵味方が目まぐるしく変わる大混戦が展開されたものの、乱が終結する頃には幕府への貢献が一定程度報われる安定した仕組みをつくり上げた」というところでしょうか。本当にオセロゲームのように敵味方がひっくり返っていくので須賀、それこそ『中世史講義』で指摘された複雑で全国化した権利争いが下地にあってのことなのでしょう。

本書では、複雑な戦いの過程を(時にツッコミを交えながら)臨場感たっぷりに追っており、ある種の軍記物語的な楽しみ方もできます。その一方で、当時の室町幕府という政権の機構や活動・人事を詳細に論じているところも特色かなと思います。それがあればこそ、乱の影響という論点に踏み込めるのだと感じました。

その上で最後に言うなら、やはり足利尊氏・直義兄弟というのはどうも憎めないコンビですね。性格や長所が大きく違い、最終的にはお互い刃を交えて全国を戦禍に陥れながらも、結局仲のいい兄弟だったんだろうなと思わせる二人の言動と、そこから滲み出る人間臭さ。

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こちらを読んだ時も感じましたが、魅力的な二人組だなという感を強くしました。

妹も勝手にデビュー/親子の2020年8月読書「月間賞」

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私は図書館で借りたこちらの本。酒や居酒屋の歴史でありながら、戦後社会そのものの切り口をも提示しており、「酒文化」自体がいかに身近なものであるかも感じさせてくれます。そしてそれがコロナ禍を経てどう展開していくか、興味深いところです。

長男はこちらだそうです。「どういうところが好きなの?」と聞いても、いつも「全部」という返事しか返ってこないのは若干不満で須賀、このシリーズはいつも楽しく読んでいますね。

 

 

もいもい(あかちゃん学絵本) 0~2歳児向け 絵本

もいもい(あかちゃん学絵本) 0~2歳児向け 絵本

  • 作者:市原 淳
  • 発売日: 2017/07/13
  • メディア: 単行本
 

時期尚早かもしれませんが、同月時点で2カ月の長女で選ぶならこの本だと思います。赤ちゃん研究の専門家(下の本の著者ですね)が監修しているとあって、確かに絵本の絵柄をよく見ていた気がします。

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『もいもい』も図書館本で、予約も入らなかったのでしばらく手続きをとって延長させてもらっていました。

 

 

「麒麟がくる」二十四話/上杉謙信の盟友「さき様」は足利義輝の従兄弟

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将軍足利義輝三好三人衆らに襲われて非業の死を遂げました。剣豪・塚原卜伝の教えを受けた剣の達人だったそうで、ドラマのシーンにあったように、障子に挟まれてその外から刺された、という話も伝わっています。そうでもしなければ倒せなかった、という趣旨なのでしょう。足利義輝といえば「信長の野望将星録」のチート技「斬鉄剣」でおなじみで須賀、本作では向井理の憂いを帯びた表情が印象的でしたね。

関白のさき様…じゃなくて近衛前久は、この義輝の従兄弟にあたります。義輝の母方の祖父が前久の父方の祖父であり、更に前久の姉は義輝の妻でもあります。ということは、覚慶(足利義昭)とも従兄弟なわけですね。ただ、前久が足利義栄の方を推したというのは事実だそうで(義輝の母や弟、側室を殺した三好三人衆が、姉には危害を加えなかったからともされます)、次の将軍はそう簡単には決まらないものの、ここでの対応が後々前久の身にも及ぶようです。

ちなみにこの近衛前久、上洛した長尾景虎上杉謙信)と意気投合して彼の関東攻めに参加したりもしています。後年には、共に成り上がりの戦国武将である豊臣秀吉津軽為信を養子にしたりと、名だたる名将達の間で独特の立ち回りをみせた人物です。本作での今後の活躍にも、注目したいです。

【ネタバレあり】「愛の不時着」、リアル北朝鮮との異同は?/注目はラストの「好着地」

娘の昼寝の合間に見ていた「愛の不時着」。今日、合計の視聴時間にして22時間超の長旅を終えました。

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以下、ネタバレも含んでしまいま須賀、少しずつ感想を述べます。

 

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「愛の不時着」一周して感じた北朝鮮や韓国ドラマのこと

ドラマが描く北朝鮮

初回から律動体操が出てきたのには思わず吹き出してしまいましたとか、「軍事部長」なる肩書はさすがにないんじゃないの?とか、(一応、北朝鮮渡航経験のある)私個人としても感じたことはいくつかありま須賀、考証的な部分については専門家や当事者の見解を求めるのがよいと思います。

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sportsseoulweb.jp

ちなみに実際の北朝鮮当局は、「最近南朝鮮当局と映画製作会社が虚偽と捏造に満ちた荒唐無稽で不純極まりない反共和国映画やテレビドラマを流し、謀略宣伝に積極的に乗り出している」、「嘆くべき民族分裂の悲劇を金儲けの手段として使っている」などとかなりお怒りの様子。

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この本にもあるように、チョ・チョルガンが手を染めていた文化財盗難・密輸(未遂)などは実際に起こったこともあるそうで須賀、さすがにここまでの「内部腐敗ぶり」を晒されて黙っているわけにはいかないということなのでしょう。作中でリ・ジョンヒョクの部下がそうしていたように、このドラマを北朝鮮の人々が目にすることになろうことも、もちろん想定しているはずです。

 

さてさて、ここからは、ストーリーや構成について挙げていきましょう。

「高貴な出自を隠している」パターン

ジョンヒョクは総政治局長の息子であることを隠して勤務していましたが、貴種流離譚、とまでは言わないまでも、このパターンは「太王四神記」にもありましたし、日本の物語にもよくありますよね。「愛の不時着」で言えば、ジョンヒョクは結局、肝心なところで権力者である父に助けられていましたが、このお父さん、何を考えているのかイマイチ掴めない人ではありました。

「二人は既に出会っていた」パターン

実は初対面ではなく、運命的な再会だったと感じさせる構成は、「冬のソナタ」とも共通しています*1

冬ソナとの類似点で言えば、(こちらにもチェジウが出てくるというのは置いておいて)ユン・セリ&ジョンヒョクの主役カップルに絡むク・スンジュンとソ・ダンが悩みを語りながら酒を飲み過ぎるシーンは、キム・サンヒョクとオ・チェリンを思い出しました。

怒涛のスペクタクルと伏線

主人公達が絶体絶命のピンチに陥ったところで放送回が終わるケースが多かったですね。後半は慣れもあってか自然に見られましたが、最初の方は(16回あるのが分かっていたということもあり)「どうせこれでは帰れないんだろうな」と何度か思ってしまいました。

また、登場人物の会話内容を視聴者にわざと見せず、後からその内容を明かす演出も非常に目立ちました。毎回本編?が終わった後に「種明かし」がされるという構成も(本作の独自性なのか韓国ドラマ全般の傾向なのかは分かりませんが)特徴的だなと感じました。

腑に落ちなかった幕開けと最後の好着地

ストーリーの本筋について少しだけ。そもそもの話になってしまいま須賀、最初にジョンヒョク達がルール通りに対応してさえいれば、こんな悲劇は起こらなかったのに…と何度も思ってしまいました。その割には、ジョンヒョクが語った理由がちょっと薄弱過ぎるんですよね。ここについてはもう少し、感情移入できるような筋書きが欲しかったです。

一方のラストは素敵だと思いました。主人公2人がお互いの立場や日常を、そして100点満点ではないとはいえ、愛する恋人との関係をも捨てないで済む解決策を見出せたと言ってよいのではないでしょうか。韓国ドラマとしてセリが北朝鮮に亡命するわけにはいかなかったで生姜、ジョンヒョクを脱北させてしまった方が筋書きとしては簡単だったはずです。結果としてそうならなかった、そうしなかった2人の関係は、決して「不時着」ではなく、最高の地点に着地できたのだと思います。

ブームの担い手に関する一考察

最後にひとつだけ。本作の登場人物の中では、不敵な笑みがリアルなチョルガンと、一連の騒動で恋愛運のなさを露呈したダンが特に印象に残りました。

それぞれの役者さんについても少し調べてみたのですが、ダンを演じた女優ソ・ジヘについて検索すると、関連ワードで「浅野温子」と出てきたんですね。私は初見から武井咲に似てるなと思っていて、そもそも浅野温子と言われても顔が浮かばなかったりするので須賀、多くの日本の視聴者が「ソジヘ 浅野温子」と検索しているらしいということは、いわゆる「W浅野」のドラマを見ていた人たちが、「愛の不時着」ブームの担い手の一部を構成していることを意味するのでしょう。

「1放送回で映画1本分」(妻談)というヘビーな視聴体験でしたが、これを見るためにNetflixと契約した価値はあったと思います。ちょうど1カ月が近づいてきたので、Netflixについては解約するつもりです。

*1:偉そうに論じていま須賀、通しで見たことがある韓国ドラマはこの2つくらいです

育休1カ月目の振り返り

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育休期間の3分の1が過ぎましたので、反省も含めて振り返りをしようと思います。

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長女と私

とにかく、よく寝る子です。

この1カ月間でいわゆる夜泣き(私が寝ている時間でカウント)があったのは10日以下でした。もちろん日によって結構違いま須賀、昼間も心配なほど寝ていることもあります。

泣く理由も比較的わかりやすく、大体、お腹が空いたか眠たいかのどちらかのようです。おむつの場合はクーイングというのか、「あー」「うぐー」といったかわいらしい声を続けて出すことが多いです。おしゃべりを楽しんでいるとちょっとにおいが…なんてことも度々ありましたので、最近は彼女が饒舌になった時は、まずおむつのにおいを嗅ぐようになりました(笑) それはともかく、子供の様子から次の展開がある程度予想できるようになったのは、2人目の育児のメリットかなと感じています。

一方で、ママの不在時にミルクをあげるのにはややてこずっています。退院後はほぼ完全母乳で育てていることもあり、いつもは使わない哺乳瓶の消毒から、長女の口に乳首を咥えさせるまで約15分かかってしまいます。その間は機嫌の悪い彼女を待たせることになってしまいますし、いざ出来上がっても飲んでくれない、ということもありました。数時間の不在なら寝たまま過ぎてしまうこともあり、授乳が必要かどうかの予測も難しいところ。私と2人での過ごし方は、まだ模索中です。

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最近は午前中を中心に、笑顔で声をかけるとニコニコと笑い返してくれるようになりました。長男とは対照的に、生まれた時からどんどんママに似ていっている気がしま須賀、この先も成長が楽しみです。

家族と私

保育園年長組の長男は、保育園とも相談して「幼稚園利用」のような形で早お迎えでの登園を続けています。週末に習い事があったりするので、親としては平日より土日のほうが忙しかったりします。

非常に親切なお兄ちゃんです。よく妹に話しかけ、グズった時には真っ先に駆けつけてくれますし、「夜中に泣いたら僕も交代で面倒を見る」と言ってくれています。ただ、「(妹が寝ているので)あまり大きな物音を立てるな」と言われるのがストレスなのか、ドタバタ走り回ったり大声を出すことは増えた気がします。元気いっぱいの年頃ですので、大目に見てあげたいとも思うので須賀、折り合いの付け方は親の課題かもしれません。

そんなわけで平日の昼間は、妻とのんびり、長女の世話をしています。相手がどのくらい家事・育児に手を尽くしてくれているかもよく見えるので、特に和やかに過ごせていると思います。用事のない日は一緒にNetflixで某韓国ドラマを見たりもしていて、感想を話し合いながら昼を食べています。

実は昨日一昨日と、家族で少し遠出をしてきました。育休期間中に帰省したいという希望は捨てておらず、コロナ感染状況を睨みながら家族で相談しています。

私自身

午前5時ごろ起き、午後10時までには寝る生活を続けています。昼間は娘の面倒を見ながら、本を読んだり上述のNetflixを見たりしています。地元の図書館にはだいぶお世話になっています。用事のない日に1時間くらい昼寝をしてしまうことがあり、その時間はもう少し短めにしたいです。

それだとさすがに太りそうなので、週に1回、早朝にサイクリングに出掛けており、そのため新モデルが発表されたApple Watchには興味津々ですw

最大の誤算は、育休開始直後に行った歯科検診で、根管治療が必要な歯が見つかったこと。今日も行ってきましたが、なるべく期間中に治療を終えたいです。

 

積読本を減らすなど、自分としてやりたいこともそれなりにやれた1カ月間だったと思います。その上で、やはりまとまった時間ができたことが今回の育休のポイントですので、長女を中心とした家族全員で、日頃はできないような思い出づくりが出来ればいいなと思っています。先はまだ長いと思わずに、一日一日を大切にしていくつもりです。