かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

北朝鮮竹島イラン旅行記
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『マネジメント(エッセンシャル版)』(ドラッカー)

 

マネジメントは何のために、どのように進めるべきなのか-。この分野において、世界で一番有名な本だと言って差し支えないでしょう。

エッセンシャル版ということもあってか、一文一文が非常に濃厚で、例えば先日読んだ『両利きの経営』の基本的なコンセプトに相当することが、サラリと書かれていたりします。全体的に文意が取れないような難解な記述はなかったように思いま須賀、私自身通読してみて、どの程度血肉化されたかと問われると、かなり怪しい気がしています。

一方で、自分が今のプロジェクトの中で心がけるべきことであるとか、5章で言うところの「専門家」のような同僚とどんな関係を築くべきかといった、これまでの実体験と結び付けることができた事柄については、その含蓄の深さを実感することができました。多分そうやって、自分が人と様々な形で関わりながら仕事をしていく経験を通じて、心に残り、腹落ちできる箇所が増えていくのでしょう。そうありたいものです。

 

自分もそうであったことがあるように、どこの職場にも業務や雰囲気に慣れ、ペース良く取り組むのに苦労していたり、周囲からそう見なされている人がいたりします。特にここ数年は、それが自分からアプローチできそうな同僚であれば、「(たとえ今の部署でなくても)何かその人の強みを生かせる仕事や、仕事のやり方があるはず」と、できる範囲のサポートを心掛けてきたつもりです。

この本の最終盤に、「人の強みを生産的なものにするのが組織の目的であり、マネジメントの権限の基盤となる正統性だ」という指摘があります。個人を組織のための手段にするのではなく、組織の目的を個々人に置く考え方*1に、ドラッカー自身の体験に基づく人生哲学のようなものを感じつつ、「血の通わない管理監督」っぽくないそのありように希望を感じることができました。

ちょっと前に、こちらも読んでみました。同じ箇所が引用されていましたかね。

*1:カントに通じる部分がありますね