かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

北朝鮮竹島イラン旅行記
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『政治学者、PTA会長になる』(岡田憲治)

 

民主主義をテーマとする政治学者が小学校のPTA会長に就任してからの、ドタバタや人間ドラマを本人が語った一冊です。

任意団体であるはずのPTAにおいて、なぜこれほどの強制的な行為や言い分がまかり通っているのか。やれる範囲のことをやって感謝し合い、共に子育てする楽しさを感じ合える場にしていくべきではないのか-。著者はそんな思いから会長職を引き受け、組織運営のあり方を変えようと奮闘するものの、現状のあり方に様々な思いを託していた人の存在に気付き、彼らの気持ちをも踏まえながら無理なく楽しめるPTAを模索していきます。

その終盤に起こったのがコロナ禍による一斉休校。これまで何だかんだで残ってきた行事が次々に取りやめになっていく中で、例年にない不安の中で入学してくる新入生・保護者をサポートすることに存在意義を見出し、活動の焦点を合わせていく。そんな3年間を面白おかしく、かつ社会における「半径10メートルの民主主義」という視点を踏まえながら描いています。

任意団体でありながら最初に加入の意思を問われることもなく、いきなり「一応ポイント制になっています」と告げられ、1年生の楽そうな役員への立候補が殺到する様子を目の当たりにした私も、そうしたPTAのあり方には非常に疑問を持っています。一方で、「やりたい人たちだけで、自己完結するようにやってね。それで賄えないことはやめてしまえば?そもそもやってくれなんて頼んだことは一度もないので放っておいてね」というスタンスを決め込む(これは私)か、著者のように一念発起して火中の栗を拾いに行くかは、子育てというよりも地域の人達と広く関わって日々を過ごすことが好きかどうかにかかっているような気がしました。

 

ちょうど今日の夕方、上の子の保育園時代の「ママ友」と出くわしました。別の小学校にながら、今でも多少接点があるので(私としては)よく話す方のママで、気楽な会話を楽しむことができました。そういえばあの園には6年間通いましたが、できて2年目だったかに入園したので、(保育園なので共働き前提ということもあるでしょうけど)あまり堅苦しい決まり事や分担もなく、ゆるっとリーダーシップをとってくれる別のママを軸に、ゆるっと保護者としての最低限の役割めいたものも果たせたような気がしています*1

かたや、今通っている公立小学校は地元の有力企業の関係者が設立した私立学校がルーツで、100年超の歴史を持っています。その違いがこの差につながっているということなら、(著者が取り組んだように)コロナ禍という危機を所謂スクラップアンドビルドの機会にする決意と行動が、今後にわたってPTAがその存在意義を示していけるかどうかに関わってくるのだと思います、知らんけど。

*1:一方で、そう思えるのはその一家と私達がかなり近所に住んでいて、子供同士も仲がいいという条件があったからかもしれません。年長組の15家族が同じ見方をしていたかは、今思えばよく分からないですね