茨城県・日立鉱山の煙害にさまざまな立場から立ち向かった人たちの物語です。特に被害が大きかった村の名家の若き当主と、鉱山会社の社長が実在の人物をモデルとしているということもあってか(後者は立憲政友会総裁も務めた久原房之助)、ストーリーとしては興味深いものでありながらも、登場人物にあまり影がないというか、善人が多い話だなあという印象でした。
ちなみに著者は、『国家の品格』で一世を風靡?した藤原正彦のお父さんなんですね。知りませんでした…
自転車で訪ねた物語の舞台
この本を読んだのは、舞台となった日立鉱山あたりにサイクリングに行った後で、同行した同僚に薦められたからでした。
大煙突は30年ほど前に倒壊し、写真のような高さになってしまっていま須賀、その近くにある「失敗作」の煙突たちも合わせて、試行錯誤を続けた人々の営みの歴史を証言してくれています。改めて写真を見返してみると、感慨深いものです。