【目次】
まずやってみて、修正していく
認知科学の視点から、何かを学んで熟達していくプロセスについて考える本です。
著者の研究領域である赤ちゃんの言語習得のみならず、外国語学習、将棋や音楽演奏などを取り上げながら、システムとしての知を構築する過程を論じていきます。すごく雑に言ってしまえば、「まずはやってみて理解の枠組みを立ち上げ、それを批判的に修正しながら精度を上げていくのがよい」という趣旨と理解しました。
私の「概説書から読みたい病」
とりあえずの理解で枠組みを作ることも、一度出来上がった枠組みを壊すことも恐れないというのは、意外と難しいことだと感じます。
自分自身、何か新しい分野の勉強を始めるときも、やはり最初に見通しの良さや精度の高さを求めすぎるところがあると感じていました。それがある程度確立した学問領域なら「定番の入門書・概説書」に出会えることも多いで須賀、例えば日進月歩のIT領域では、書籍が本屋に並ぶ頃には事情が変わっていることも多いからか、そもそも入門的な知識を(しばしば出典や情報の確度が不明確な)ネット上で仕入れねばならないことも多くあります。これが古い勉強の仕方を続けてきた私には結構ストレスだったりするので須賀、「絶えず修正していけばいいんだ」と思えたことは、大袈裟かもしれませんが一歩踏み出す勇気になるような気がします。
「優れた探究」の両輪
ただ、惰性に陥らず「絶えず修正する」には、かなりの知的体力が必要であることも本書が指摘の通りです。そのバランスこそが、優れた探究と呼びうるものなのでしょう。
他の著書も面白いですので、ご興味ある方は是非。