教育政策に実験とデータ分析による科学的根拠(エビデンス)を反映させる重要性について、国内外の具体的な研究結果を紹介しながら論じた本です。ちょっと前にいろんな反響があった本だそうですね。
子供へのご褒美や生活習慣、非認知能力、少人数学級の効果、教員の質の影響などに関する多くの研究結果が挙げられていて興味深かったです。
一方で著者は、少なくないテーマにおいて政策の「効果」を子供の学力の向上や生涯年収の向上と定義づけ、その「費用対効果」に基づいて教育政策を決定せよと主張します。学問的手法として教育の「投資効果」を計算されるのは結構なことだと思いま須賀、その算盤勘定だけで学校のあり方や先生の言うことが変わってしまうとしたら、子供に対してはとても気の毒なことだと思います。
これらの研究結果から先の、そこからどんな主張に結びつけるかという部分の問題として、「教育は受けた子供の生涯年収を上げることが最大の使命だ」というのは、やや一面的な議論だと思います。
もっと具体的な内容に関する批判も見つけましたので、最後にご紹介させていただきます。