酒飲みを自称する著者が、チュニジア、アフガニスタン、マレーシア、イラン、トルコ、シリアからソマリランドまで、イスラム圏各国で出会った人々と酒について語った一冊です。
私はアル中というわけではありませんが、中東のイスラム圏の国々を何度か訪ねたことがあり、楽しく読むことができました。
特に感慨深かったのはイランでした。私は著者のように酒を探し回ったりしませんでしたけれども、ちゃっかり現地の方の家に上がり込んで、密造酒を飲ませてもらったり、トルコから密輸入したビールを頂戴したりしました。その時の酒の味…は覚えているようで覚えていないんですけど、その時話したことや、出会った皆さんとの交誼はありありと思い出され、本当に懐かしい気持ちになりました。
そうなんです。酒の話は酒の話で面白いんですけど、やはりそこには現地の人とのやりとりや、生活の息遣いがあるんですよね。特に飲酒が建前上、禁止されている地域であれば、そのコミュニケーションは建前と本音を上手く使い分けたものにならざるを得ません。その辺の機微ーしっかりした前提知識に基づく駆け引きや読者への説明ーがこの本の面白さだろうと思います。
最近、旅行でも読書でもイスラム圏から遠ざかってしまっている気がします。次は久々に、また中東方面に行きたいなあ。