- 作者: 牧原出
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2013/06/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ただ、「自民党がいい民主党がいいではなく、政権交代が起きたときによりスムーズに政治が進んでいくようにするにはどうすればいいのか」ということを考える*2に際して、「改革の時代」をここまで詳述して、「政権交代の進化」の本論をわずかな記述にとどめてしまうということでよかったのかはちょっとよくわかりません。確かにその時代の選挙制度の産物が政権交代を生んだとされていますし、政権交代と統治機構改革が結びつきやすい話であるというのはわかるんですけど、たぶんに私の読み込み不足という要因もありながら、一つの論証としてわかりやすくつながっているか、と問われればややそうでもないような気がしました。そこを割り切って読めば学ぶことの多い本なんですけどね。
それはともかく、著者が指摘するように、政権交代という現象がぐっと身近になった今、政権に復帰した自民党がかつての55年体制下のような「復活」を遂げた=これからまた数十年間政権交代はない、と考える人は少ないでしょう。であれば、いつかは来るだろう与野党交代・再交代を見据え、それがなるべくスムーズに行われるよう、よりフェアなルールを政治の仕組みの中に埋め込んでいくべきである。広く言えばそういう政治文化を涵養することが、日本の民主主義に資するということを理解させてくれる一冊です。