【目次】
NFTを中心に、web3時代の技術と社会を論じる本です。話題のNFTについて分かりやすく解説されており、遅ればせながら勉強になりました。
「アウラ」の復権?
その上で興味を持ったのは、この技術と芸術作品の一回性(ベンヤミンが言うところの「アウラ」)との関係です。ものすごく雑に言うと「芸術作品が複製可能になることで作品からアウラが奪われた」というのがベンヤミンの主張なわけで須賀、オリジナルであることが明確にされることで、デジタルアートにおいてこのアウラが復権する、なんてことが果たしてあり得るのか。その辺がデジタルアートそのものの浮沈と関わってきそうな気がするので、推移を見守っていきたいと思いました。
技術は社会を決めない
また、最も印象的だったのは「テクノロジーが社会のあり方を一義的に決めるのではない、社会がそれをどう使うかだ」と再三述べられていた点です。著者はweb3について、インターネット普及初期に語られたような分権的なあり方をもたらしうると評価する一方、その真逆の展開もあるとの指摘も忘れません。
歴史的にも、社会に流通する情報の増大が新聞を、大衆的見世物への欲望が映画を生み育て、ラジオと電話の技術は(今から見れば)錯綜して用いられた時期もありました。
https://canarykanariiya.hatenadiary.jp/entry/2018/11/08/104325
「帝国」などと謳われた巨大ITプラットフォーマーでのレイオフなどが最近話題で須賀、こうした集権的なインターネットや社会のあり方がweb3時代も続くのかは、今という時代の文脈が定めていく側面も大きいのでしょう。そしてその文脈をつくっていくのは、日々インターネットを使い、社会生活を営んでいる私たちであるはずです。
12年ぶり3度目の…
本書を読んで思い出すことが多かったので、久しぶりにこの本を読んでみました。
学生時代のゼミで読んだ本で、随分前に改訂版も出ているようですね。もちろんインターネットに関する言及は時代を感じさせるもので須賀、先ほども言及したメディアの歴史研究に関する部分は色褪せません。