かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

北朝鮮竹島イラン旅行記
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新聞社でCRMを考える/『CRMの基本』(坂本雅志)、『マーケティング・イノベーション』(内山力)

 

業務の勉強を兼ねて読んだ2冊です。

前者は、CRMを「顧客を適切に識別し、ターゲットとする顧客の満足度と企業収益の両方を高めるための経営における選択と集中の仕組み」と定義し、その要素ごとに順序よく解説を加えています。後者はそのCRMを含むマーケティング全般について、「マーケットをどう見るか」「そこにどうアプローチするか」「どんな事例がヒントになるか」を、整理された形で提示しています。具体的な内容については私がヘタに紹介するより、実際に読むのがよいかと思います。

後者で印象深かったのは、マーケットのライフサイクル(経年変化)についての議論でした。曰く、商品優位→売り手優位→流通優位→買い手優位、と変化するとのことで、例えば売り手優位の時代には機能やブランドで売り手同士が闘いを繰り広げ、流通優位時代は価格がポイントとなり、買い手優位となると顧客を分析し、その関係を重視するようになっていくとされます(まさにこれがCRMですね)。

著者はマスコミ業界を商品優位の時代に分類していましたが、媒体を問わず、コンテンツを供給して対価を得るという機能に注目して近年の状況を見ると、安いPV単価でプラットフォームに記事を配信し続けてきたこの四半世紀を流通優位時代と捉えることもできるのではないかと思います。とすれば、エンドユーザーの月額有料会員化を目指すサブスクモデルが注目を集めるようになったここ数年は、(我が身に都合よく解釈すれば)買い手優位時代の萌芽と言えるのかもしれません。

 

新聞社内で、本格的なCRM戦略構築を担当することになりました。「ニュースの流通優位時代」の現場を眺めてきた身でありながら、偶然にも次のステージへの移行に関わるのは感慨深いことでもあります。知見のストックや洞察力などの面で、自分にはとても及ばない難題であるとひしひしと感じますけれども(だから焦って勉強を始めた)、新しい&これから避けて通れないだろうことを学んでいけることを楽しみに、業務にも励みたいと思っています。