- 作者: 北岡伸一
- 出版社/メーカー: 有斐閣
- 発売日: 2011/04/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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保護国化を進める日本への「韓国の抵抗は裏目裏目と出て、かえって日本の植民地化を促進することとなってしまった」とか、「二十一カ条要求は、今日でこそ日本の帝国主義を代表する侵略的な政策のように言われているが、その頃の世界の常識では、特に侵略的な政策というわけではなかった」というような物言いは、一見パワーポリティクスに則った冷徹な記述であるように思えま須賀、そもそも朝鮮半島の植民地化や中国大陸での権益拡大をめぐって、日本が韓国・中国とパワーゲームを演じる対等な倫理的資格があるとは私には思えません。「倫理的資格」などという言葉はリアリズムの用語らしくないように見えま須賀、そうしたものに突き動かされ、時には命をかける(人もいる)のが人間である以上、ソフトパワーまで土俵を広げて論じなければリアルな分析とは言えないのではないでしょうか。私が冒頭でリアリズムっぽいと言ったのはその意味でして、表層的な駆け引きや展開のみで話をすればするほど、議論の射程も狭まるのではないかと懸念しました。