かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

北朝鮮竹島イラン旅行記
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『近現代日本を史料で読む』(御厨貴編著)

大久保利通原敬徳富蘇峰らの日記から、昭和天皇靖国参拝しなくなった理由を自ら述べた内容を含むいわゆる「富田メモ」まで、多彩な史料から日本の近現代を読み解こうとした本です。
一つ一つの章はあまり長くないので、日記の中の耳目を引くエピソードが満載されているかというと必ずしもそうではないので須賀、どういう経緯で残された史料であって、故に読む際にはどういう点に気をつけるべきか*1、といった史料を読み解く上でのリテラシーのようなものについてはしっかり書かれていたように思います。
ですので(私のように)読み物としての楽しさを期待する人より、実際に紹介された日記の一つに挑戦しようとする人にとって有益な本であるかもしれません。それはともかく、こうした様々な史料を突き合わせて、一つの出来事や一人の人物について掘り下げる迂遠にも見える仕事の上に、歴史研究というものが成り立っているのだなあと実感しました。

*1:例えば公開を前提に書かれた原敬日記の全てを鵜呑みにしてはいけない、など