少し前からの思い付きに、一か月間に読んだ本から独断と偏見で「月間賞」を選んだら、いい暇潰しになるのではないかというのがありまして、年度も替わりましたしやってみようかと思います。最初なので2013年度をズラリと選んでみましたが*1、来月からは毎月紹介したいです。多く読めば紹介できる本の質も上がるというところで、読書のモチベーションにもつなげていきたいものです。
<ルール>ここにレビューを書いた日付における一か月間で、一番気に入った本を一つ挙げます。ただし、他にも特に言及したいものがあった場合、「次点」として紹介します。
- 2013年4月
『ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて』(安田浩一)
執念とも言うべき取材による力作。「在特会」のみならずそれを生む社会をもえぐっています。
- 5月
『過去の克服―ヒトラー後のドイツ』(石田勇治)
戦後ドイツが「過去の克服」をめぐって辿った紆余曲折が非常に興味深かったです。
- 6月
『金閣寺』(三島由紀夫)
好きかと聞かれれば「はい」とは言わないかもしれませんけど、面白かったかと聞かれれば「はい」と答えると思います。
- 7月
『民族とネイション』(塩川伸明)
もともと関心のあるテーマでしたが、豊富な事例とともにうまくまとまっていると思います。
- 8月
『天皇 天皇の生成および不親政の伝統』(石井良助)
天皇制を核として日本の通史を解釈してみるということを、自分は意外なほどやってこなかったなあと感じさせられました。
- 9月
『居場所を探して―累犯障害者たち』(長崎新聞社「累犯障害者問題取材班」)
いい取材をされているなあ、という同業者としての敬意を込めて(一冊しかなかったんで須賀)挙げさせていただきます。
- 10月
『北朝鮮 瀬戸際外交の歴史: 1966〜2012年』(道下徳成)
4冊同じネタで選びにくきこと風の如しでしたが、分析的で個人的にも目新しかったものを。
- 11月
『隼人と古代日本』(永山修一)
日本の古代史を紐解いていたら、前掲の『民族とネイション』的な問題意識が浮かび上がってくるというあたりが面白かったです。
(次点)『ルポ 貧困大国アメリカ』〜『(株)貧困大国アメリカ』(堤未果)
話題のシリーズで須賀、これも読みごたえがありました。あまり米国産牛肉に手が出なくなりましたw
- 12月
『ロシア新戦略―ユーラシアの大変動を読み解く』(ドミートリー・トレーニン)
ちょっと悩みましたが、現在進行形のウクライナ情勢を考える上でも、この本で学んだ「ロシアの視点」が役に立ったかなという気持ちも込めて。
- 2014年1月
『独裁者のためのハンドブック』(ブルース・ブエノ・デ・メスキータ、アラスター・スミス)
独裁を中心に様々な統治のあり方を説明してしまおうという結構刺激的な理論書です。
- 2月
『彼らは自由だと思っていた―元ナチ党員十人の思想と行動』(ミルトン・マイヤー)
ドイツの話とはいえ、歴史に学ぶとはまさにこういうことだと思います。それにしても何と、今の日本に通ずる警句の多いことか!
(次点)『新聞と戦争』(朝日新聞「新聞と戦争」取材班)
テーマはかぶりま須賀、話題も多角的で当時の雰囲気も伝わってきます。
- 3月
『北朝鮮の指導体制と後継―金正日から金正恩へ』(平井久志)
クレムリノロジーの技法も学べて勉強になりました。最後「あこがれの北朝鮮」が紹介されててちょっと笑ったw
…意外と時間がかかりましたが(笑)、今月からもいい本に出会いたいですね!
*1:暇ですみません