- 作者: 藤原帰一
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2013/04/17
- メディア: 新書
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その中で一つ思ったのは、ちらっと挙げた権力移行論の敷衍可能性についてです。この議論そのものは「国際政治における権力移行期には、台頭する新大国が旧大国に挑む覇権戦争が起こる」というもので、著者はざっくり言えば「台頭する新大国は、旧大国を上回るまで戦争を避けるのが合理的で、その逆も然りなので成り立たないよね」と一蹴しているので須賀、「勝てると思う」ことと「実際に勝てる」ことは別なわけで、その辺の自己・相手認識を噛ませていけばかなり面白い議論になるのではないかと思うのです。旧大国が叩けるうちにと新大国に戦争を仕掛けたんだけど、実はもう軍事力では追い越されていて…という方が、むしろ史実においてありがちな気もします。
現在の東アジアあるいは環太平洋地域をめぐる状況も、そうした認識論を含めた権力移行論を検討する上での好例とはなりそうで須賀、これらの知見も既にあるわけですし、この情勢をどうハンドリングするかが、いま、ここで生きる私たちの知恵の見せ所とも言えるでしょう。