かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

北朝鮮竹島イラン旅行記
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琵琶湖は最初、伊賀上野にあった/『日本列島100万年史』(山崎晴雄、久保純子)

【目次】

 

日本アルプスはプレート沈み込みの「皺」

現在の日本列島の地形に大きな影響を与えたとされる、ここ100万年の地形発達史をまとめた本です。日本列島全体の成り立ちから、各地域の特徴的な地形が形成された経緯までを紹介しています。

例えば▽日本アルプスはプレートがやや斜めに沈み込んでいることによる「皺」である*1▽かつて富士山が山体崩壊して土砂が足柄平野を埋めた▽琵琶湖は最初は伊賀上野あたりにあった▽近世のたたら製鉄が山陰地方の平野を広げた▽錦江湾は南北に連なるカルデラ群であり、7300年前の鬼界カルデラ噴火はそれまでの南九州の縄文文化を一瞬にして消滅させた-といった興味深い内容が目白押しになっています。

「大陸の端にある」意味

それらの事例を学ぶ中でやはり押さえておくべきは、日本列島が大陸の縁、すなわちプレート同士が交わる位置にあるということでしょう。火山が連なる「火山フロント」は、(水を含む)海洋プレートが地下100キロまで沈み込んだラインに形成されるそうです。また、先ほどの「皺」としての日本アルプスや、対照的にプレート同士が平行に近く沈み込んでいるために南北に山脈(火山フロント)が連なる東北地方も、プレート境界ならではの地形と言えます。先月の日向灘地震で注目された南海トラフ*2も、もちろんそうです。

日本がユーラシア大陸の(日本海を挟んだ)東端にあることについて、これまでは政治や文化など人間の営みと関連づけて考えることが多かったので須賀、地球科学の観点でも非常に大きな意味を持つことを実感させられました。

*1:皺と呼ぶには壮大すぎる気がしま須賀…

*2:「トラフ」とは水深6000メートル未満の海溝を指します