かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

北朝鮮竹島イラン旅行記
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台湾の休日四日目 烏来・中正紀念堂・台北101

「お腹大丈夫?」

だらだらやってるうちに観光最終日です。

三つ目の「残念なこと」

9時に起きました。今日は烏来で温泉です。早く支度をして出ようと起き上がると…お腹が痛い。そうです。昨晩ガツ食いした四川料理の中の辛い麻婆豆腐、あれにやられてしまったのです。韓国料理で辛いものには慣れたつもりでいたので須賀、どうってことありませんね。うんうん言いながらなんとか外に出て、中正紀念堂へ向かいます。

蒋介石ガリバーと恐竜

中正紀念堂というのは、蒋中正(蒋介石)の事績を称えるモニュメントです。

バスが止まっていることから一大観光スポットだということも分かりますね。ここは敷地が結構広くて、この当時恐竜展みたいなのをやっていましたし、ガリバー先生もいらっしゃいました。

ただここに立ち寄った目的は「蒋介石という人は台湾にとって何者なのか」を感じることであり、それよりなによりこのとき腹部に異常を痛感していたため、わき目も振らず紀念堂の方へ歩いていきます。

どうも蒋介石です


展示はまさに蒋介石の事績を紹介するというような内容で、彼の日記や勲章、乗った車、会った要人、国際連合憲章に署名した時の様子などです。

一方で外せないのかこれでしょう。中国大陸でも大きな尊敬を受け、言わば国共が共に認められる最後の中国史の偉人である孫文とのツーショット*1です。孫文の正統な継承者が蒋介石であることを示すことは、「一つの中国」という原則に照らせばとても重要なことです。

バカ殿蒋経国

まあ展示はそんなところでしたが、もっと面白いことがありました。私たちが展示を見ていると、日本人観光客らと出くわしました。女性2人、男性1人というグループで、男性が女性2人に日本語で展示内容を説明しています。どうやらこの男性は台湾のガイドのようです。「蒋介石は日本の恐ろしさを思い知っていたので、終戦後に天皇の処刑を主張しなかった」とか、なかなかアグレッシブな発言をなさっていたので、こっそりお話を伺うことにしました。すると晩年の蒋介石の写真の前で、大きな声でこう言うのでした。
蒋介石は年をとってぼけてしまった。表向きは奉られていたが、実質的には何の権力もなかった。2代目(蒋経国)は馬鹿だったのでやむなく李登輝先生が立ったのです」
ちょwwっwww 私も蒋経国のことを詳しく知っているわけではありませんでしたが、調べるにバカ殿というにはかわいそうな気もする人物です。「私も台湾人」発言などを考えると、蒋介石李登輝を政治的にもつなぐ位置にいたと言うことができるのではないでしょうか。
しかし彼のその歴史認識というのが、台湾の人々の間における政治的亀裂の一側面を示していると考えると興味深くもあります。私のような台湾のことを何も知らない外国人が「あの人は本省人だろう」などと決めつけるのは簡単なので須賀、それは日本で政治的にリベラルな主張をする人を「あいつは層化(創価学会会員)だ」「在日乙」などと見なすこととロジックとして変わらないことで、政治的亀裂を社会的亀裂に還元することには、少なくとも個人レベルにおいては慎重であらねばなりません。
あともうちょっと。ここのお土産物屋さんには、蒋介石のみならず毛沢東のグッズも並んでいました。その2人が、あるカテゴライズにおいて一緒であるということ。それは、2人の生きた時代が歴史として消化されつつある*2ことを示唆しているのではないでしょうか。まあひっくり返っても逆はあり得ないでしょうねw
そして最後に一つ。いくら恐竜展でも蒋介石人形の原人バージョンはないだろwww

「烏来は中止」

タイヤル族温泉郷


たくさんのハトたちともお別れして、中正紀念堂を後にします。午後1時ごろに地下鉄新店駅に到着し、すぐ来たバスで烏来を目指します。30分ほど山道を揺られると烏来の温泉郷です。
烏来には台湾少数民族タイヤル族が居住しており、「ウーライ」はタイヤル語で「温泉」。台湾最大の滝があることでも知られています。

台北からも近いとあって観光地化されていますね。写真右奥のタイヤル料理店で昼食。

上がタロイモのスープ、右下が山菜炒め、左下が竹筒飯です。どれもおいしく気に入ったので須賀、同行者は微妙な顔をしていました。その人は、標高も高く息も白むこの烏来で、白くまアイスを召し上がっておられました。

滝とおばさん

そこからこんなもの

を横目にトロッコへ。

この乗り物でトコトコいいながら滝まで上がっていきます。

落差82メートルという大きな滝です。その姿も壮観でしたが、天気のせいで靄が出ているのが雰囲気としてよかったです。
お土産物屋を覗いてみると、お店のおばさんが日本語で話しかけてくれました。日本人観光客がやって来たのがうれしいようで、「寒いでしょう、苦沙弥先生お茶でも上がれ」とお茶を入れたり、「これを羽織りなさい」とタイヤル族上着を貸してくれたりと歓迎を受けます。そして「私の親戚がたくさん日本にいる」だとか「50日間かけて日本各地を回ってきた」「昔の稚内市長を知っている」というような話を、古いアルバムをめくりながらしてくれます。「ここに日本の友達を泊めたりもするの。今度来るときは泊まりにおいで」。
楽しい時間ではありましたが、長居すると先の旅程にも障りそうなので、適当なところでお暇してきました。タイヤル族上着は、着れば着るほど買ってもいいかなという気持ちになり、380元(1000円相当*3 )で購入。私がお金を払ったからか、同行者はタダで貰っていました。いずれにせよこのおばさん、商売がお上手ですww
ちなみに彼女はこれらの品物を「山の人」から買っているそうで、恐らくタイヤル族のことでしょう。

河原でいい湯だな♪

再びトロッコで下り、川沿いの温泉地帯にやってきます。ちなみに何枚か入浴シーンの写真が出てきま須賀、ここの露天風呂は水着を着て入ることになっていることは断っておきます。

入り方を説明しましょう。まずプールの脱衣所のようなところで水着に着替えます。で、入る前に体を洗い流す。写真にある洗剤のボトルはバケツとして使われています。

で、お風呂に漬かります。浴槽によって温度がかなり違います。欧米系の水着のキレイなおねいさん*4も、「隣の浴槽はちょっと無理だわ」なんて言いながらぬるい方で縮こまっていました。

例えばこの川沿いの浴槽なんていうのはメチャクチャ熱くて、寒空を忘れさせてくれました。そしてその熱湯が流れ込んでいる川の方もそれなりに暖かい水*5ではあったので須賀、さすがに風邪を引きそうだったのでやめました。夏は川で遊ぶのが楽しそうです。
お湯を楽しんだ後は、「烏来泰雅*6民族博物館」に寄ってから台北に戻ろうと、バス停の方へ向かいます。しかしここで同行者から物言いが入りました。
「免税店の営業時間に間に合わないから台北に帰りたい」
免税店で売っているような買い物なんかどこででもできるだろう、というのが私の基本的なものの考え方なので須賀、朝腹痛を訴えて出発時間を遅らせたうえ、さっきまでのうのうと温泉に入っていたのは他ならぬ私であるわけで、ここは引き下がらざるを得ませんでした。しょぼくれながら午後5時15分発のバスで烏来とお別れします。

「免税店に行きたい」

東洋一の「台北101

地下鉄と乗り継いで約1時間半で免税店のある中山に戻ってきます。本でも読んで時間を潰すつもりだったので須賀、何も買わずに案外早く出てきてくれたのですぐ次の目的地へ向かうことができました。
次に目指すは最後の観光地、台北101。ドバイのブルジュ・ハリファに抜かれてしまったものの、世界第2位、509.2メートルの高さを誇ります。周辺はきれいなイルミネーションの高層ビルが並んでいるエリアなので須賀、この存在感は群を抜いていると評していいのではないでしょうか。


クリスマスシーズンの日曜日ということで、こういう光景も。中は5階までがブランド品のお店になっています。ここで起きた強盗は、新宿三越の事件との絡みで日本でも話題になりましたね。

5階から最高分速1010メートルのエレベーターで、89階の展望台へ。台北の夜景を見物します。

屋外の91階と合わせ、高いだけあって夜景はきれいなので須賀、恐らく台北の夜景で最も存在感のある建物を原理的に見ることができないためか、そこまでの感動はなかったですね。。。
でまぁ降りようということになるんで須賀、ちゃんと高層階のお土産物屋エリアを全部通らないと下に戻れないようになっています。商魂です。翻って地下のフードコートにはマックだケンタッキーだとリーズナブルなお店が多かったで須賀、最後の食事がそれじゃあ寂しいですので、比較的近くにある臨江街観光夜市に歩いて向かいます。

最後も夜市!


ここはデザートなどの食べ物が中心の素朴な夜市、という触れ込みで行ってきたので須賀、意外と雑貨や衣料品店も多い印象です。若干道に迷いながらも、10時前に到着。ここが最後とばかりに食べ歩きました。

  • キンカンジュース(30元)
  • グアバ(60元) 砂糖を振って食べます。あっさり。
  • 鳥皮(100元) 結構スパイシー。
  • ギョーザ(40元)
  • 生春巻(60元) お姉さんが目の前で一つずつ包んでくれました。
  • 玉ねぎ餅(25元) これがおいしかった! 当たり前ですが玉ねぎをこねて餅にしているわけではありません。
  • イカ焼き(35元)
  • エビオムレツ(55元)
  • カキオムレツ(50元)

最後の二つは同じ店でいただきました。同行者は初日の士林夜市からカキオムレツを食べたがっていて、ここでやっとの邂逅を果たしたわけで須賀、最初注文がうまく伝わらなかったせいかエビオムレツまで頂戴することになったのでした。おいしかったですけどね! それにしてもここのおじさんはとても私たちに気を遣ってくれて、私たちが両手いっぱいに持っていた食べ物を見て「もしもう食べないならここで捨てていってください」とまで言ってくれました。まあ当然言葉は通じず、ジェスチャー込みで分かったことなんですけどねww
そろそろお腹いっぱいです。明日も朝早うございます。11時に夜市を離れ、日付が変わるころに宿に戻ってきました。遅い時間に電車が少ないのは日台共通です。
宿のフロントには初めて会う女性がいて、念のため「明日朝6時にチェックアウトするけど大丈夫ですか?」と英語で聞いたらまったく通じず焦ってしまいました。日本語が通じたんですけどねwww

*1:絵だけど

*2:なくなったとは言いません。消化されたものは、俗な言い方をすれば当然「血となり肉となり」ます

*3:敢えて日本円に触れた理由は、彼女の最初の提示額が「1000円」だったからです

*4:温泉に入る以上水着なのは当然なのだがw

*5:この微妙なシニフィアンはきっとソシュール先生に喜んでいただけるでしょう

*6:タイヤル