かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

北朝鮮竹島イラン旅行記
ブログランキング・にほんブログ村へ

『サブスクリプション』(ティエン・ツォ)

 

ビジネスの中心を製品から顧客にシフトさせ、顧客を知り、繋がっていくことで安定した収益を確保していくー。人口に膾炙するようになって久しい「サブスクリプション」について、そうした形態のビジネスを支援するZuoraの創業者が語る本です。

「サブスク=定額課金」と矮小化して捉えられるケースもありま須賀、この本には、それは単なる課金方式ではなくビジネスモデルの変革である、という意気込みが滲んでいます。それを進めるためには、部門の壁を壊し、「永遠のベータ版」として日々価格設定とサービスの調整を繰り返す必要がある、そう説くのです。

言うまでもなく、新聞社のビジネスはもともと定額課金ですので、サブスクに親和的ではあると思います。ただ、どこまで顧客と繋がって、カスタマーインサイトを得てきたかと問われると、かなり心許なさも感じます。編集会議で新聞の一面トップを決める際の「これこそ読者に伝えるべきニュースだ!」という常套句は、象徴的かもしれません*1

顧客とつながり、データを分析し、機敏にプランを調整していくためには、多くのリソースが必要です。それを実行していくためには、そのリソースを割くための経営判断が不可欠になるでしょう。サブスク移行期には、一時的なコスト増と収益減に見舞われるとされます。その「痛み」を承知で踏み込んでいけるかが分かれ目になる、ということなのでしょう…こう聞くと、今すぐにでも伸るか反るかの決断を迫られているような気分になってきま須賀、まずは少しずつでも顧客の行動を知り、思いを推察していくところから始めなければなと、遅まきながら認識させられました。

 

 

ブログランキング・にほんブログ村へ

*1:全面的に間違っているとは思いませんが…