かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

北朝鮮竹島イラン旅行記
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「岸田総裁」への観測気球?/『大宏池会の逆襲』(大下英治)

池田勇人大平正芳宮沢喜一らを輩出した自民党の名門派閥「宏池会」の歴史と、現会長でポスト安倍候補とされる岸田文雄政調会長を軸にした今後の展望を語った本です。「麻生派など宏池会系派閥との再結集はあり得るのか」「岸田文雄は首相になれるのか」という問いに答えるべく、取材を重ねています。
この著者の本を読むのは初めてだったので、主たる取材対象者(この本の場合は岸田文雄)とどのような間合いを取ろうとする人なのか、やや読み切れない部分がありました。単刀直入に言うと、全体として岸田文雄へのヨイショに貫かれている観があり、秋の総裁選出馬へ向けた「観測気球」なのかと勘ぐってしまうほどでした。これを言ってしまえば身も蓋もないので須賀、この2人はともに広島出身なんですね。事実関係として眉唾な部分を見つけたわけではありませんが、そういう邪推をしたくなるトーンではありました。
ただ昔のエピソードは面白かったですけどね。いわゆる「加藤の乱」はよく憶えていますし*1、もっと遡って宮沢喜一総裁を実現するために、河野洋平麻生太郎宮沢りえの推薦コメントを取った話などは笑いました。それにしても加藤さん、2回派閥を割ってしまっていたんですね。もちろん選挙制度の変更による派閥自体の存在感低下という要因は無視できないんで生姜…。

*1:加藤紘一に続き野中広務も亡くなりましたね