複数の研究を取りまとめて、より高い見地から分析する「メタアナリシス」という手法を用いて、現時点で最も病気になりにくいとされる食事について紹介する本です。
メタアナリシスは、個別の食材に含まれる成分が体内でどう作用するかといったミクロな視点でなく、そうした研究の蓄積というマクロからのアプローチであるため、それにおける食材の分類もシンプルなものになっています。具体的に言うと、▽健康に良いことが多くの研究で報告されている(確度が高い)▽健康に良いことが少数の研究で報告されている(確度が低い)▽良いとも悪いとも報告がない▽健康に悪いことが少数の研究で報告されている▽健康に悪いことが多くの研究で報告されているーとなります。
世の中にはたくさんの食材と、遺伝や行動のパターンを持つ人間のグループと、研究の制約条件があります。それらに関する研究が多くある中で、メタアナリシスという手法を用いて全体の傾向を分析するのには一定の合理性があると感じました。
一方で、この手法は「研究者の多くが何について研究するか」についてのバイアスは免れないと思われます。研究者が興味を持たない&そもそも知らない食材については研究がなされず、どちらかの意味で健康に影響が大きい食材も「良いとも悪いとも報告がない」ものに分類される可能性があるのではないでしょうか。
この傾向はこの本における結論にも表れていて、良いものはオリーブオイルや魚などを用いた地中海食で、悪いものはパスタや白米などの「白い炭水化物」や豚肉・牛肉(特に加工肉)であるーという分析は、それ自体が間違っているとは感じませんでしたが、欧米風のライフスタイルを送る人の関心を大いに繁栄していると言えそうです*1。ムスリムの研究者は、恐らく豚肉の発がん性については研究しないのではないでしょうか。
そうした研究手法に基づく制約を踏まえれば、「良いとも悪いとも報告がない」ものやエビデンスの弱いものについて過信できないことは留意すべきで生姜、報告が多く集まっているものについては気をつけた方が良さそうです。
特に子供の食習慣については責任ある立場ですので、なんとなく気をつけてあげたいものです。
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