軍事や戦場のリアルな有様や要請から、中世を中心とした日本史を読み解く本です。
著者によると、第二次世界大戦に敗れてからの日本史学は、戦争や軍事に関する研究を条件反射的に忌避する傾向があったといいます。しかし、中世以降文官に対する武官の優位が続いてきた日本では特に、権力を握るのに必要なのは軍事であったわけで、戦うということがどんなことなのかを科学的に考えていく必要がある、と指摘しています。具体的には、戦術・戦略・兵站・兵力・装備・大義名分を分析していく必要があるとされます。
…と言うと小難しい議論が続く本なのかと思われるかもしれませんが、さにあらず。源平合戦から承久の乱、宝治合戦、南北朝の動乱、川中島の戦い、秀吉の中国大返し、関ヶ原合戦から鳥羽・伏見の戦い、太平洋戦争まで、豊富な事例をもとに、専門的な議論も噛み砕いて、わかりやすく話を展開しています。
読んで楽しみながら、日本史における軍事のリアルを考えられる本かなと感じました。
いつもありがとうございます。