かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

北朝鮮竹島イラン旅行記
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10連休後半は萩・大分へ/『世に棲む日日』(司馬遼太郎)

 

新装版 世に棲む日日 (1) (文春文庫)

新装版 世に棲む日日 (1) (文春文庫)

 

 幕末、激動の長州藩に生きた、というよりは長州藩を激動の中に叩き込み、国内政治の台風の目にまでした2人の「書生風の」人物を描いた小説です。

吉田松陰は、その不思議な人間的魅力も相まって、藩内外の志士たちに大きな思想的影響を与えました。その松陰の松下村塾で学んだ高杉晋作は、藩の上士の子でありながら、まさに「動けば雷電の如く、発すれば風雨の如」き勢いで時局を動かしていきました。ともに30歳を迎えずして世を去った2人で須賀、その濃密な時間を実に活き活きと描写しています。

一つ興味深かったことを挙げるなら、著者による「革命の世代論」でしょうか。第1世代が革命思想を広め、第2世代がそれを実行して旧体制を倒し、第3世代が新しい体制を整備していく、というものなので須賀、19世紀の日本におけるそれぞれの代表的人物は吉田松陰高杉晋作伊藤博文であると言って差し支えないわけで、一つの藩で(私塾内で)これら3類型が揃い踏みしていることには、著者も驚いています。例えば薩摩藩出身者には、内戦や暗殺の影響もあって第3世代の中核で活躍できる人材に欠き、これが戦前日本における長州閥の強さにもつながっているわけです。

 

さて、大型連休前にこの小説を読んだのには理由があります。いわゆる10連休の後半、長男と萩に行ってこようと思っています。他には大分方面にも足を伸ばす予定です。私自身は7連休だったので海外も考えたので須賀やはりどこも高く、国内で一度行ってみたかったエリアを訪ねることにしました。小説の、そして歴史の舞台を肌で感じられるのを楽しみにしつつ、あと1週間あまりを凌いでいきたいと思っています。

 

いつもありがとうございます。

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