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柏木由紀の一言が示唆する日朝関係史/「西郷どん」第四十三話

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一度は決まった西郷隆盛の朝鮮派遣でしたが、岩倉具視が病に倒れた三条実美に代わって「太政大臣代理」となることで閣議はひっくり返り、西郷らは政府を辞職することに。そして西郷は大久保利通を訪ね、別れを告げます。

まずクライマックスの別れのシーンで須賀、帰国後人が変わったようだった大久保の情緒的な部分が表現されていて私はよかったと思います。上にリンクしたサイトでも、鈴木亮平瑛太コンビのアドリブで作り上げていったさまが紹介されていま須賀、大久保は後に西郷の訃報を受け、かなり動揺した様子であったとも伝わっていますので、当時の大久保利通自身の感情にも、近いものがあったかもしれません。

ただ全体として気になったのは、西郷が辞職して東京から遠く離れた鹿児島に帰ってしまうことへの周囲の危機感が、あまり描かれていなかった点です。唯一の陸軍大将であり、戊辰戦争の英雄として声望の高かった西郷隆盛が、士族の不満渦巻く真ん中に投げ込まれてしまうというのは明治政府としてかなり危険な事態だったはずですが、辞めると言った西郷をほとんど誰も引き止めなかったのはかなり異様に映りました。

あと小ネタかもしれませんが、鹿児島の園(柏木由紀演じる吉二郎未亡人)が朝鮮半島の地図を見た際に発した「短刀のようだ」という言葉は、この先の歴史を見ていく上でシンボリックな意味を持ってきます。「日本列島に短刀を突き立てたような位置にある半島である」=「朝鮮半島が列強の支配下に入れば、日本は一刺しでやられてしまう」という認識は、後の山県有朋の「主権線と利益線*1」の議論に通じるもので、日本が朝鮮半島への影響力拡大を目指すようになった土台にあったものと言えます。そんな言葉がシレッと出てきたことには、かなり驚きました。何かの伏線…とも考えにくいので須賀。

 

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*1:朝鮮半島はその間にあるとみなされます。自国領ではないが、自国の利益に非常に重要な関係がある地域だ、ということです