- 作者: 増田寛也
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2014/08/22
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (37件) を見る
ただ一つ感じたのは、もう少し東京の「求心力」が弱まる近未来を想像してもいいのではないかということです。イノベーションとまで呼ぶ必要があるのかは分かりませんが、まさに現在進行中の情報技術の発達が「東京に行かなくてもいい」働き方を生みだす機会を提供してくれているように思います。まさに「地元でだって仕事はできる」と「消滅可能性都市」にUターンしたIT関連の若者にも会いましたし、今後そういう社会通念が広がっていけば、そうした業種はもっと増えていくはずです*2。個人的には、日本にリニアが開通する頃には、(新幹線や飛行機もあるのに)そこまでして急いで全国を駆け回らなければいけない人たちの数は相当減ってしまっているのではないかと予想していまして、結果的に今進みつつあるリニア事業は究極のムダ公共事業として語り継がれるのではないかと危惧しています。話が逸れましたかねww
とはいえ、「今の東京は少子化による減を高齢者の増加で覆い隠しているような状態で、実はかなり深刻な事態が進行しつつある」など、無視できない分析の上に立った人口減社会論です。その対応策についても紙幅が割かれていま須賀、著者らも「これはしばらくの人口減の中で続けられる撤退戦だ」と認めるように、なかなか「決め球」になるような手があるわけではないというのが現状のようです。
冒頭でご紹介した首長さん。呑気なことを言っているように聞こえたかもしれませんが、少子化対策には早い時期から傾注してきた方です。それでも、雇用の場が特定分野に限られているといった条件もあり、人口流出に歯止めをかけるには至っていません。「もうこれは、自治体だけの取り組みで何とかなる問題じゃないよね」。その人のみならずよく聞かれた声で須賀、「決め球」がないからこそ、国や自治体、企業などのアクターが連携して「配球・制球よく」、つまり目標をしっかり見定めて継続して取り組んでいく必要があるということなのでしょう。