縁日などで並ぶ露店の
テキヤさんたちがどこからやってきていて、どんなしきたりで生業を営んでいるのかをフィールドワークを通じて解明する本です。江戸期から時代を追ってその有り様や変化を描いており、まさに来歴という意味でも慣習という意味でも、彼らの「仕来たり」を紹介しているという言い方が的を射ているのでしょう。あまりそういう場に行くことに興味がない私でも、楽しく読むことができました。
最後の最後に「この本は拙著
『かじり稼業は歯が命』『
テキヤ稼業の
フォークロア』を丸めたものです」と言われてしまうと指摘しにくかったりもしま須賀、とはいえ、もう少し手広く調査された方が説得力はあったんじゃないかと思いました。特定の団体にかなり食いこんでいて、また著者の思い入れの強さも端々に感じられるというあたりで、ちょっと損をしているような気がしなくもありません。