- 作者: 豊下楢彦,古関彰一
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2014/07/19
- メディア: 新書
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そこで一つ本題からかけ離れたことを言うなら、そうした主張の展開の仕方を鑑みるに、この内容を書籍というメディアで発表したことはあまり成功だったとは思えません。前述のように批判の拠って立つところもまちまちで各個撃破的、そして共著者2人の相乗効果もあまり感じられないとなると、権威付け云々の問題(があるとすれば)を脇に置けば、この具材を生かす盛りつけは「岩波新書」ではなく「NAVERまとめ」だったのではないかと思えてなりません。著者自身があとがきの冒頭で、「本書は、政府・自民党の集団的自衛権の見方が、つぎつぎと変化するなかで原稿を漸次修正しつつ、何とか完成に漕ぎつけることができた」と述べているのも示唆的です。
ここからは完全に備忘録で須賀、この本では以前『政府の憲法解釈』を読んだときに書き残した、日本国憲法制定〜自衛隊発足期の憲法解釈への疑問について憲政史の立場からの回答がなされています。それは「過去にも解釈改憲はあったが、その際は国会での関連法案の議決を経た。今回は『異例な事態』であり『民主主義の破壊どころか寡頭政治』だ」というものです。立法府が関連法案を可決させることがその十分条件にはなりそうにもありませんが*2、少なくとも「有識者」などと称する個人的なお友達につり球を投げさせておいて、「これでも控え目にやっているんです」という顔をしながら与党の仲間内だけで話をつけてしまうやり方が憲政史上、全くもってマトモなやり方ではないことは明らかではないでしょうか。