かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

北朝鮮竹島イラン旅行記
ブログランキング・にほんブログ村へ

参院選投票日を前に/3年後を見据えるとやはり自民の憲法草案が気になる

ついに明日は参院選の投開票日です。「ついに」と言いましたが、選挙取材班にいるわけでもない私の日常は、各社の情勢分析を目を皿のようにして見ていたほかは、特段変わりなく過ぎていきました。それでいて明日は駒のように開票所に配置され、選挙特番もろくに見られないという困った有様です(といいつつ見物が楽しみだったりする)。
さて、毎度ながらギリギリになってはしまいましたが、投票日の前にどうしても言っておきたいことを簡単に述べておきたいと思います。まず今回の選挙。各社の世論調査の結果を見ていると、投票先を決める際に経済や社会保障を重視するという回答が多いようです。当然これらはとても重要なイシューで、私個人としても、ライフサイクルの中で重きを置かざるを得なくなってくるだろう*1と意識しています。また、門外漢なので深入りは避けま須賀、「アベノミクスだ!」とお祭り気分で上がった株価がバーナンキの一言でがっくり下がりました…みたいな「狂乱株価」を見ていると、むしろこれ大丈夫なのかという気持ちが湧いてくるというのも正直なところです。
ただ、今回の参院選の、というよりその次の2016年参院選までを見据えた時に最も重要と思えるのは、やはり憲法改正をめぐる問題です。自民党は、両議院の総議員の3分の2を改憲の発議要件とした憲法96条の先行改正(緩和)を参院選公約に盛り込むことはしなかったものの、安倍晋三総裁はその改正に積極的な姿勢を崩していません。そして、安倍総裁はその修正もやぶさかではないと言ってはいるわけで須賀、自民党として掲げている改正草案がこれなわけです。多くの人が言っていることなので(繰り返し)長々書くつもりはありませんが、憲法というのは、国家権力が暴走しないように国民の側から縛りをかけるためのものであり(立憲主義)、その観点から自民党の草案は反立憲主義であり、近代的憲法の要件を備えていないと言わざるを得ないと思います。http://d.hatena.ne.jp/asobitarian/20130716/1373956600など、様々な立場の学者から手厳しく批判されているのもむべなるかなといった感じです。付言すれば、リンク先で小林節教授が指摘しているように96条の問題というのも立憲主義の問題そのものであって、要件を緩和することは権力者を縛り、また少数者の最低限の権利を守っていこうという(日本国憲法ではなく)近代憲法の趣旨に反するものです。
私は、過去の自民党の業績や、現在自民党に籍を置く方々の努力を全て否定するつもりは毛頭ありません。しかし、この憲法草案を掲げている限り支持することはとてもできないし、たとえ経済政策その他で自民党が優れていると考え、あるいは安定政権をつくる必要性を実感していたとしても、この憲法草案のみを理由に、投票先の選択肢から除外するに値するとすら思います。言葉が過ぎていると怒られるかもしれませんが、これはそのくらいヤバいっす。
憲法の話ばっかりしてしまいましたが、あとは原発ですね。極論的には「原発なしでは経済が回らなくなる」という見方なので生姜、原発事故による様々な被害を「何か他のもの」と比べ、例えば「○○になっちゃうよりは原発事故が起こった方がまだマシだ」というような天秤を考えることは少なくとも私には出来ません。
何にせよ、「自民一人勝ちで関心の低い選挙」と言われがちで須賀、むしろそうだからこそ、(まずは3年後に)ボディーブローのように効いてくる、振り返ってみれば重要な選挙になるような気がします。
 
…で、お前はどうするかって? お得意の(?)戦略投票で、よりマシな候補に入れてくるつもりです。そういえば、参院選公示後にした唯一の選挙絡みの取材で、インタビューを受けてくれた方がこう言っていました。
「ベストの選択肢なんてない。それを望むなら自分が立候補するしかない。それをしないなら、どれがよりマシな選択肢かを選んでいくしかないと思うんです」

首相:96条に再言及 自民草案、見直しに柔軟
安倍晋三首相は7日のNHK番組で、憲法について「6割の国民が変えたいと思っても国会議員の3分の1超が反対すればできないのはおかしい」と述べ、改憲の手続きを定めた96条を見直し、発議要件を衆参両院の過半数(現行3分の2以上)の賛成に緩和することに改めて積極的な姿勢を示した。
また首相は、自衛隊の「国防軍」化などを盛り込んだ自民党憲法改正草案を見直す可能性について「ここを修正すればいいということであれば、当然、政治は現実なので考えていきたい」と語り、柔軟に対処する考えを表明した。改憲に積極的な勢力の結集を優先したいためと見られる。
首相は一時唱えていた、憲法の他の条文より96条を先に見直す先行改正には触れず、改憲の手続きについて「国民投票法の3要件がある。それをまず整えることから始める必要がある」と指摘。投票年齢を「18歳以上」に定めるための国民投票法改正を優先する考えを示した。
公明党山口那津男代表は同じ番組で、96条先行改正について「やるべきではない」と主張。民主党海江田万里代表は「何を変えるという議論もなしに、手続き論だけするのは反対だ」と語った。
一方、日本維新の会橋下徹共同代表は96条の先行改正論を訴え、憲法改正について「ぜひ連携できるところと連携したい」と述べ、自民党との共闘を探る考えを示唆した。【木下訓明、飼手勇介】
(7月7日、毎日新聞)

*1:次の国政選挙は3年後でしょう