かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

北朝鮮竹島イラン旅行記
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『国際政治学(New Liberal Arts Selection)』(中西寛、石田淳、田所昌幸)

国際政治学 (New Liberal Arts Selection)

国際政治学 (New Liberal Arts Selection)

国際政治学の幅広いジャンルを紹介する教科書です。個人的事情が重なって読み終えるのにかなりの時間がかかってしまいましたが、記述も平明で教科書としてはかなり読みやすい本だと思います。また、リアリズムやリベラリズムに代表される国際政治観や個々の議論を、現実の国際政治史の流れに結びつけて紹介している点はとても興味深かったです。
一方で、国際秩序を国内類推論と市場類推論の二つの系譜で論じた第4章は、まとめ方としてはきれいだけれども、生きたそれぞれの議論を紹介するという面ではやや面白味に欠けた気がします。
この本から得られた/るべき示唆はさまざまあったように思いま須賀、一つだけ。強制外交と安心供与外交の選択の問題*1は、本書でも指摘されているとおり、北朝鮮情勢を考える上でも重要です。北朝鮮としては、韓国(やアメリカ)を脅すべき相手とみて行動しているケースがいかにも目立つようで須賀、逆に*2北朝鮮自身はどうであるのか。よく言われる瀬戸際外交の戦術の中で、「ただの脅しなら要求を呑むまい」という判断があったとしても、私が思うには、究極的に金正恩が望んでいるのは体制の保証です。
恐らく「ある国は前者で、この時期のまたある国は後者です」なんて簡単な話ではないので生姜、その観点から北朝鮮の行動がどう振れている/いくのかについて、また個別の事例を振り返り、あるいは日々起こっている事象を追いながら考えてみたいと思いました。

*1:脅しが実効性を持たないとなめてかかってくる「脅しで強制すべき」相手なのか、約束を守らないとそっぽを向く「安心を与えるべき」相手なのかを見誤ると逆効果を生む

*2:というよりこちらの方がこの問題の立て方のポジの部分で生姜