『尖閣諸島売ります』(栗原弘行)

尖閣諸島売ります

尖閣諸島の前所有者の弟で、その承継などに関与してきた著者が、それらの経緯について述べた本です。
非常に短くもあるこの本の価値は、当事者筋の情報であるという点にほぼ尽きると思います。曰く、

尖閣諸島は福岡県出身の古賀辰四郎が開拓したもので、息子とその妻が著者の兄・栗原國起に譲ったが、その理由は著者には窺い知れない。購入を目指すさまざまな政治家などのアプローチを断ってきたが、中国などが領有権を主張し始めるような島を一個人が所有することの限界を兄が感じたようで、東京都との交渉のテーブルに着いた。自分たちは自民党時代から交渉のあった石原慎太郎をトップに戴き、離島管理経験も豊富な東京都に売るつもりだった。後から購入を言ってきた政府に売る気はなかったが、政府の交渉人が国家権力を盾に脅すようなことを言ってきたので、その中身は明らかにはできないが、政府に売ることになった

とのことで、実はこれだけ聞いてしまえば、「尖閣諸島の元地権者の弟による経緯説明」の柱立てとしては用が済んでしまいます。もちろん詳しく読めばいろんなことが書いてあるんで須賀ね。
著者もそのつもりでしょうから非難でも何でもありませんが、私としても「へえ、そうなんだ」というのがほぼ唯一の感想です。