かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

北朝鮮竹島イラン旅行記
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『中国の言い分』(鈴木秀明)

中国の言い分 ?なぜそこまで強気になるのか?? (廣済堂新書)

中国の言い分 ?なぜそこまで強気になるのか?? (廣済堂新書)

尖閣諸島靖国参拝チベット北朝鮮から環境問題まで、国際社会ないし日本と中国の間で軋轢を生んでいる問題について、「中国の言い分」からアプローチした本です。
副題が「なぜそこまで強気になるのか?」となかなか刺激的でもあって、ありがちな「中国叩き」的内容なのかなあとやや心配しながらページをめくったので須賀、本文に書いてある内容はどちらかというと「なぜそこまで強気に見せないといけないのか?」に近く、あくまで内在的な理解が目指されていたという意味で共感・納得することが多かったです。例えば、日本社会/日本国のメンバー*1として日本に暮らす私から、さまざまなメディアを介して中国がどう見えるかという視点が、私が中国について考える際の無意識の前提になっていることは残念ながら否定しがたいと感じるわけで須賀、「そうでない視点からはこう見えるよ(んじゃないの)」という思考の逃げ道のようなものが一筋でもあれば、それは自分の立ち位置を、さらにはその新たな道筋をも相対化して、第三第四の道を探し、あるいは切り開く助けになるように思えます。
熱く語ってしまいましたが(笑)、この本自体はそんなに専門的な話でもなくサクッと読むことができますので、中国について予備知識が豊富な方というよりは、最近の尖閣国有化を巡る中国政府の対応や反日デモなどに「なんかムカついてる」人に手に取っていただければ、何がしかの役に立ってくれるのではないかと期待しております。ちなみに2011年の1月の本ですので、最新の動向というわけにはちょっといきませんですけど。

*1:勤めているという意味ではありません念のためw