かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

北朝鮮竹島イラン旅行記
ブログランキング・にほんブログ村へ

「北朝鮮のハルキ」による一冊/『これだけは知っておきたい 日本と朝鮮の一〇〇年史』(和田春樹)

これだけは知っておきたい 日本と朝鮮の一〇〇年史 (平凡社新書)

これだけは知っておきたい 日本と朝鮮の一〇〇年史 (平凡社新書)

韓国併合に至る経緯から植民地支配の時代、朝鮮戦争、日朝交渉と、日本と朝鮮半島との1世紀を、双方の視点から振り返った本です。特に「世界のハルキ」ならぬ「北朝鮮のハルキ」(笑)たる著者ゆえか、後半は金日成金正日親子に関する記述が主となっています。
北朝鮮のハルキ」は言い過ぎとしても、ロシア、北朝鮮研究の大家とあって、日露戦争朝鮮戦争北朝鮮政治についてはしっかりと論じられていると思いま須賀、最も印象的だったのは「日本と朝鮮の100年」で交錯してきたさまざまな視線が紹介されていることです。三・一独立運動石橋湛山吉野作造はどう評したかとか、終戦を日本で迎えた朝鮮半島出身者はどんな様子だったかとか、金正日側から見た日朝交渉は、など、歴史年表に載るような話だけではなく、その100年の雰囲気を理解するのに有益な記述が資料をもとになされています。
ただ、そうであるがゆえに、大切なことはそれらの視線を内在的に理解すること*1だと思うので須賀、日本人の朝鮮観などに著者の外在的な視点からビシバシと批判が入っているのはちょっと余計というか、内在的理解の助けにはならないと思いました。まぁ批判の内容自体が非常におかしいとか、そういうことを言いたいわけではないんですけどね。

*1:この人はこういう背景や事情からこう主張しているんだろう