- 作者: 橋爪大三郎,大澤真幸
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/05/18
- メディア: 新書
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読んでいて自分のユダヤ教やイエス・キリストに対する無知にも驚かされましたが、特に印象的だったのは、最後の柱と関連する「
ただその意味で一つ気になったのは、最終章にしばしば登場する他宗教との比較がやや、現代をゴールとみなして宗教をその理由づけに用いているように読めてしまった点です。「キリスト教のこういう側面がこういうベクトルを生んだ」という議論の仕方であれば問題ないと思いますし、その対応関係において明らかにおかしいものがあるとは思いませんでしたが、ともすれば宗教決定論的に聞こえてしまう。彼らがそこまで言っているとも思いませんが、今ある全てが宗教ゆえではないでしょうし、やや話はずれま須賀、大航海時代や産業革命を経た今がゴール*2ではない以上、どの宗教のどんな特性がどんな作用をするかは分からないはずです。そういう意味で、最終章を前の二つ同様、もうちょっと丁寧に議論してくれてもよかったんじゃないかと思っています。
それにしても、知っているのが当然のように思われているイエス・キリスト。「君はイエスキリストを知っているのか!」 もし深夜討論番組で唐突にそう聞かれた時、人格破綻だと言われないために、読んでおくとためになる本ではないでしょうか。