グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する 文春新書 (501)
- 作者: 佐々木俊尚
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/04/01
- メディア: 新書
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と言うとGoogleの技術が、さらにはインターネットそのものがビジネスの世界を否応なく変えてしまうというような、ありがちな技術面重視のメディア論のように聞こえるかもしれませんし、著者の意図もおそらくその辺にあるので生姜、私にはそうは読めませんでした。バナー広告からキーワード広告への変遷や、大量のキーワードを埋め込んで有利な検索結果を得ようとするアルゴリズムクラッカーと検索エンジンとの戦いなど、むしろビジネスという人間の営みがいかにインターネットでのビジネスモデルや技術に作用してきたか、そのことをGoogleの発展の歴史を通じて感じることができました。インターネットの技術的特性を、どんな商売につなげていくのか。人々のその営みは、インターネットという技術を社会が揉んでいく過程と言えるのではないでしょうか。
あと最終章についてなんですけど、「グーグル八分」などの問題提起は結構なんで須賀、「グーグルから排除されれば、インターネット社会の中で存在しないことと同一になってしまう」というような「司祭」としてのGoogle観は、少なからず誇張されているように思います。現実にYahooやMSNがあるように、Googleのみならず特定の一企業に対するカウンターの存在が保障されていれば、そう簡単にそんな話にはならないはずです。著者の言うような懸念がなくはないというのは分かるので須賀、その部分はなんだかSF本を読まされているような気分でした。