かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

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『2011年新聞・テレビ消滅』(佐々木俊尚)

2011年新聞・テレビ消滅 (文春新書)

2011年新聞・テレビ消滅 (文春新書)

インターネット上にさまざまなサービスが生まれた今、新聞・テレビといったマスメディアがいかにビジネスとして成り立たなくなってくるか、ということを説いた本です。タイトルはじめかなりセンセーショナルに書かれているのは割り引いて読むべきで生姜、日米のマスメディアのビジネス面を取り巻く状況については情報豊富です。
一方で気になるのは、報道機関としてのマスメディアのあり方です。社会における格差拡大などによるいわゆる「マスの消滅」によって野次馬的関心が失われてしまうというような主張には「えっ?」という感じで須賀、最後の短い章の末尾に出てくる「つまり私たちにとって必要なのは、新聞やテレビじゃない。必要な情報や良質な娯楽、そして国民として知らなければならない重要なニュースにきちんと触れられるメディア空間だ」という言葉には、「国民として知らなければならない」という発想はちょっと怪しいにせよ、頷かされる部分もあります。そう考えると、最後にちょろっと触れられていたネット社会とジャーナリズムの展望のような議論を、今後深めていかなければならないと感じました。
まぁ現状ではその活動を支えているのが、この本に出てくるような「危うい」ビジネスモデルなんですけどね。