- 作者: 半藤一利
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2006/04/11
- メディア: 単行本
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確かにそれはもっともだとは思うので須賀、では最後の章となってバブル期やそれ以降の官僚たちを「戦争中の官僚である軍人、参謀連中がやったのと同じようなことを繰り返してしまう」のではないかと喝破する時、果たしてそれで十分なのかという疑問は感じざるを得ませんでした。もちろん彼は、言わば独立後の日本を一貫して見続け・論じ続けてきたジャーナリストであるわけで、彼らの行状・エートスや「金属疲労」を起こした官僚制の問題点について語ることは十分可能なんだろうと思うので須賀、それを実質的に欠いた文脈の中で「バブル後の滅びの40年」*2と言われても、「歴史は繰り返す」という慣用句の言い換え以上のものには聞こえてこないというのが正直な感想です。
あともう一つ言うなら、戦後の経済復興から高度経済成長に至る過程の中で、戦前旧商工省などで活躍した官僚たち、あるいは通産省(これも「旧」なんですねw)の果たした役割というのが十分評価されていないという印象は受けました。確かに岸内閣の時代が政治的動乱の時代であったことは間違いないとは思うので須賀、一方で彼やその取り巻きの統制経済的な政策が、結果として日本の経済成長を大きく支えたことも否定はできないと思うのです。
とはいえやはり勉強になったし面白かった、というのが一番の感想です。今度文藝春秋の方とお話しする機会もあるので、半藤さんについていろいろ聞いてみましょうかねw
北岡伸一「あれは素人だね、素人にしてはよく書けてるけど。君もっとちゃんとした本を読みなさい。ボクの本を(ry」