かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

北朝鮮竹島イラン旅行記
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1歳2カ月児と行く!バリ五日間の旅〜三日目・タマンアユンとタナロット

動物園で象に乗る

カーチャーターで出発!

朝は7時ごろ起床。昨日と同じくバイキング形式の朝食を摂り、身支度をします。今日明日は一日車をチャーターしての島内観光を予定しておりまして、午前10時にホテルに迎えに来てくれる手はずになっています。公共交通機関の発達していないバリでは、このカーチャーターで観光するというやり方はそう珍しいものではないようで、細君が見つけてくれたバリ島 旅行 情報なら現地 観光 ツアー 会社のヒロチャングループにおまかせください!にお願いすることにしたのでした。
約束の午前10時。若めの男性ドライバーと落ち合って車に乗り込みます。最初に若干張り切って「Nice to meet you!」とかなんとか英語で挨拶をしてみたら、何の差し障りもない流暢な日本語が返ってきたので安心というか拍子抜けというか…。まあとにかく、一日よろしくお願いします。長男は後部座席に取り付けてもらったチャイルドシートにご鎮座されています。

「頭が大きい」長男

まず、最初の目的地であるバリ・サファリに向かってもらうようお願いすると、「バリ・サファリ遠いよ。バリ・ズーでも変わらない。ズーなら象に乗れるよ」。
象に乗れるだと?サファリ自体は細君の発案であったので須賀、料金的にもそちらの方が安そうだということも勘案して、急遽バリ・ズーに象に乗りに行くことにしました。
とはいえこの時間帯、結構道が混んでいまして、車窓の景色を眺めたり、おしゃべりをしたりというところで午前中がほぼ終わってしまいました。そんなわけで、彼とした話の中からいくつか。まずは彼自身についてです。いわゆるアラサーの独身男性で、個人としてもこうした観光ドライバーの仕事をしているとか。日本の茨城県に住んでいたことがあり、その間いろいろな仕事をしていたそうです。2011年の東日本大震災も経験し、当時瓦屋さんで働いていたことから「(地震で多くの家が壊れたので)たくさん売れた」とも話していました。
「今は仕事第一だね」と結婚にはあまり関心が高くなさそうでしたが、日本語ではない言葉を一生懸命話している長男を見て子供には興味を持ったようで、「子供は欲しいね、(長男に向かって)バリに残る?日本に帰らなくていいよ」と目を細めながら繰り返していました。聞けばバリでは3世代同居が普通らしく、「バリのおじいちゃんおばあちゃんは暇だから子供の面倒を見てくれる」。私達が両親と同居しておらず、共働きなので長男は保育園に預けていると話すと、ちょっと驚いたような様子でした。
もう一つ、子供に関して興味深いことを話してくれました。長男が割と大きな寝息を立てて寝始めると、笑いながら「この子は頭が大きくなるよ」。それだけでは若干意味が分かりづらかったので詳しく聞くと、(少なくとも)バリでは言い伝え的に「大きな寝息を立てる子は怒りっぽい」とされているんだとか。「頭が大きい」というのは恐らく、怒りっぽいことを表す慣用表現を直訳したものなのでしょう。別のシーンでは、道が途切れていてつながっていない状態を「足が切れている」と表現していましたね。「腹が立つ」を「stand stomach」と訳すのと同じような処理でしょうか。

「見ざる、聞かざる」海外進出?

さてさて、ようやくバリ・ズーに近づいてくると、道の両側に石像がずらりと並ぶエリアに入ります。


バトゥブランという村で、長らくこうした石彫りが盛んだったとか。寝転んだ釈迦やモアイ像、人魚、いわゆる「見ざる、聞かざる、言わざる」の猿など、モチーフも多彩です。やはり一番印象的だったのは「見ざる聞かざる」で、日本語で否定の意味と動物の猿の意味が掛かっているから猿なんだろうと思っていたら、古代エジプトからガンジーまで世界的に登場する題材なのだそうです。

金払いのいい日本人ファミリー

さてさて、やっと目的地のバリ・ズーに到着したのは12時前。運転手さんの「パパは大変だね」という冷やかしを受けながら私が抱っこひもで長男を抱きかかえ、入口へ。ここからは家族3人で向かいます。

そして券売所のお兄さん。日本語も交えてフレンドリーに挨拶してくれたあと、こう続けます。「お子さんは小さいので無料です。象に乗りたいですか?でしたら大人2人でこれこれのお値段、乗らないのでしたらこれこれですね。支払いはルピアでもドルでも結構ですよ」
ルピアで示された象込みの値段が最初よく飲み込めず、若干遅れて細君と顔を見合わせたので須賀、1863000ルピアってなんですかwww 大人1人9000円という世界で、これは何のぼったくりかと恐れ慄きましたが、こういうところは本当に消費者として負けていると思うんですけれども、たとえ記憶に残るかはかなり怪しくても、長男を象に乗せてあげたい、もう少し大きくなれば、象に乗った自分の写真を見せてあげることだってできるのではないか―概ねそんな考えに支配され、折角ここまで来たんだし倒れるなら前に倒れようと、その金額をバシッと(カードで)払ってしまったのでした。まあこちらの内心はどうあれ、客観的には金払いのいい家族連れの日本人リゾート客にしか見えないでしょう(ちなみにネット予約などをして行けば若干安くなるようですし、そもそもを言えば日本でも象に乗ることはできるようです)。

孟獲気分を満喫

払った金は払ったとして、早速象に乗りましょう。



写真を見ていただくのが手っ取り早いとも思いま須賀、ベンチ状の鞍に乗って園内を巡ります。前にいる象使いがハンドリングしてくれるので須賀、馬でいうところの鞭の代わりなのでしょうか、先端がやや鋭利な鎌のような形状の道具で象をつつくこともあり、ちょっと見ていてかわいそうでした。
象が一歩歩くごとに、大きくゆっくりと揺れながら進んでいきます。ゆっさ、ゆっさ。そのテンポにようやく慣れたと思ったとき、象が耳をバサバサさせて、「ブオーン!」と鳴き声を上げます。何事かと思ったら後方で「ジャーッ」と液体の流れる音。おしっこしてたんですね(笑)しかし結構な量でした。
コースをぐるっと巡った後は、餌やり体験にも挑戦*1。ご存じの通り鼻で食べ物を取って口まで持っていくわけですけど、「おかわり」を催促してこちらに鼻を伸ばしてくるさまに、長男は大いに恐れをなしていた様子でした。
その後は園内を一回りしてレストランで昼食。私はあまりお腹がすいていなかった(朝食べ過ぎた)ので、ライムジュースくらいにしておきました。お昼時だったのでちょっとしたショーもやっていて、ありがちな「動物に触って記念撮影」的なコーナーがありがちな程度に盛況を博していました。
車に戻ったのは午後2時ごろ。「象には乗った?」と尋ねる運転手さんに「楽しかったけどちょっと高いですよね」と答えたらやや意外そうなリアクションでしたが、後になってから「自分も乗ったことないよ。給料と同じくらい」とこぼしていたのが印象的でした。それが週給なのか月給なのかは定かではありませんが、彼としても自分が一日案内する客がどのくらいのお金を払うつもりでいるのか掴むのは難しいところなのかもしれません。

バリ島寺院巡り

世界遺産の所以は水路に

次に向かったのはタマン・アユン寺院。この地域を治めたムングウィ王国の国寺として17世紀に建てられ、世界遺産の登録資産にもなっています。

水路に架かった橋を渡って寺院へ。この水路の水は農業用です。年中温暖な気候のバリでは、同じ水系の中でタイミングをうまく調整して2期作、3期作を行っていくために水利管理組織「スバック」が発達してきた歴史があり、先述の世界遺産も「トリヒタカラナの精神を象徴するスバックの水利システム」として登録されています。まあ要は「年中暖かくて稲は育つんだから、『我田引水』をやって喧嘩にならないようにうまいことタイミングをずらしてやっていきましょうや」という理屈ですね。なのでここが世界遺産たる所以は、むしろこの水路にあるとすら言えます。

闘鶏場です。本来は祭礼で行われるものなので須賀、終始「トリケンカ」と呼んでいた運転手さんがそうであるように、実質的には「パチンコと同じような」ギャンブルの一種として楽しむ人が多いそうです。実際には鶏の足に刃物を付けてどちらかが死ぬまで闘うんだとか。一部報道によると、中でも強いトリは市川海老蔵を腕相撲で瞬殺できるほどだそうです。




内部には入れないため、水路の周りをぐるりと一周します。屋根が幾重にも重なっている塔がメルで、11層までの奇数が基本。その点、4枚目の写真の一番奥にある2層のメルはレアものなのだそうです*2。ちなみに1枚目にあるやや明るい屋根の建物は、メルで祈る人の「待合所」なのだそうです。
バリの宗教文化やヒンドゥー教について勉強してこなかったので極めて表面的な感想しか持ちえなかったので須賀、規則的な形の建造物が(特に最後の写真に見えるように)規則的に、整然と並んでいる光景というのにはある種の壮観さがあって、よく言えば賑やか、悪く言えば猥雑な街中と非常に良いコントラストを成しています。人為的ながら神秘的な空間である、と言ってよいのかもしれません。この文脈と関係があるかどうかは知る由もありませんが、長男もここにいるときはなぜかかなり上機嫌でした。

イグ・ノーベル賞再び

午後3時過ぎに見学を終えることができたので、サンセットビューで世界的に名高いタナロット寺院に向かいます。とはいえカーチャーターが午後6時までですし、長男のこともありますので太陽が傾きかけたくらいの光景で我慢しましょうかね。
と、その前に一つ寄り道を。皆さん「ジャコウネコ・コーヒー(ルアック・コーヒー)」ってご存じですか? この地域にはジャコウネコというネコの仲間が生息していて、コーヒーの実などを食べるんで須賀、彼らが消化することなく排泄した豆を煎って淹れたコーヒーがそう呼ばれています。その独特の味わいと希少価値から「世界一高価なコーヒー」ともされ、取扱者はイグ・ノーベル賞を受賞しています。車中でドライバーさんからその話を聞いた時に、どうも初めて接する話ではないなあという気がしたので須賀、やはりそうだったということにこれを書いている今、気付きましたw そんなわけで(どんなわけだ?)、スターリンワールドに続き二つ目となる「イグ・ノーベル賞受賞作」を体験しに行くことになったのです。

場所は寺院のすぐ近く。後ほど気付くことなので須賀、こののぼりは他の場所でも見つけることができたので、恐らくチェーン展開されているものと思われます。左の女性が、流暢な英語でその「製法」を紹介してくれます。

「世界一高価なウンコーヒー」初体験


ジャコウネコ。結構凶暴だそうです。

その糞から豆を取り出しました。

煎っています。

そして出てきた「世界一高価なコーヒー」。奥は別のコーヒーや紅茶の試飲です。本題のコーヒーの方は1杯50000ルピア。そもそもスタバのドリップコーヒーとコンビニの100円コーヒー*3ぐらいしか飲んだことのない奴に何が分かるんだと言われればそれまでの話なので須賀*4、苦すぎもせず酸っぱすぎもせず、どちらかといえばいろんな味わいが一度にするかのような、それらがお互いに牽制しあって出来上がったような味で、美味いか不味いかでいえば美味しかったと思います。それに対して世界一の単価を払うべきかどうかまでは分かりませんでしたけれども。飲んでいる最中は、この女性が長男をあやしてくれていたので非常に助かりました。
ある程度の手間暇をかけて見学や試飲をさせてくれた割には押し売りのようなこともされず、「割と紳士的だったね」なんて話しながら車に戻ったので須賀、よくよく考えれば「スタバで飲むのと大して変わらないじゃん」と(2人分で)100000ルピア払っていく時点で、いいお客さんといえばそうなのかもしれません。

こちらも世界一

そしてタナロット寺院。長男は抱っこで見て回ります。ドライバーさんもチャイルドシートから抱き上げてくれたりとサポートしてくれ、助かります。


沿道には土産物屋も多く、観光客で賑わっていますね。これから先の時間帯はもっと増えてくるのでしょう。例によって、外部から見学しました。
さて、時計を見ると午後4時45分です。そろそろホテルに戻りましょう。紙幅の上で「世界一美しい夕景スポット」が「世界一高価なウンコーヒー」に完敗していま須賀そこは気にしない。わかちこわかちこ!

帰宅ラッシュのこんな光景*5をくぐり抜け、時間前にホテルへ。利用料の1日6000円と本当にちょっとした額のチップを渡し、彼ともお別れです。長男の面倒まで見てくれて、本当に助かりました。ありがとうございました。

強制終了のお知らせ

この後近場で夕飯を食べてホテルに戻って寝たので須賀、いろいろ熱を込めて書いていた部分がマイクロソフト社か私の手違いで消えてしまい、私の能力では復元もままならないため、この日に関する記述はこれにて終えることにします。
最後の写真は、ホテルの裏にあるビーチからみた夕日です。

*1:これには追加で60000ルピアかかります。せこいですねw

*2:そして、昨日買ったタンブラーには10層のメルが描かれていま須賀、現実にはこういうものは存在しないということなのでしょう

*3:最近は飲みながらこの作業をしています

*4:ただ、日頃よく飲んでいれば味が分かるかというとそうでもありません。私は日本酒をよく飲みま須賀、4杯目以降の味はよく分からないですね。さすがに芋焼酎はもうちょっと大丈夫ですけど

*5:車中から撮りました