かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

北朝鮮竹島イラン旅行記
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トルコ・キプロス新婚旅行五日目・パムッカレと地中海の車窓

パムッカレ―朝日と日光犬軍団

夜逃げ?

旅行5日目の起床は午前4時半。アザーンを聞きながら簡単な身支度をし、5時前に部屋を出ます。宿の出入り口はカギが掛かっていたので、横の壁を乗り越えて外へ。足早にその場を離れます。
宿から夜逃げ?いいえ、違います。目指すは石灰棚。朝日を見に行こうという算段です。星雲まではっきり見えるような、驚異的な星空の下、昨日通った入場ゲートの前へ。24時間オープンということで常に係員はいるので須賀、おじさんは椅子に座ったまま眠っています。気の毒なことに、彼の安眠は2人の空気の読めない日本人のために妨げられ、恐る恐るのぼっていく彼らを見送る羽目になりました。

パノラマを二人占め

もともと外気はひんやりで、石灰の岩もかなり冷えています。流れる温泉も冷たくて結構堪えましたが、流入源に近い場所なのでしょうか、ところどころ温かさが感じられます。
2人で「ひいっ、冷たい!」「寒い〜」なんて言いながら裸足エリアの最上部近くに辿りつきます。

初めは星空と街の明かりを楽しむ会でしたが、

徐々に空が白んでくると、南極想像図*1のような光景が見えてきます。今回は水着を仕込んで入場した私達。「プール」の中に勢いよく温かい温泉が流れ込んでいる場所があり、そこに浸かりながら夜明けを待ちます。というより、体が濡れた状態で風に当たるのはとてつもなく寒いので、一度濡れてしまうと温泉の中にいざるを得ないのです。それはともかく、こんな時間からこんな場所にいるバカはそういませんので、「パムッカレ温泉」を借り切ってパノラマを楽しむことができます。


この辺に浸かっていました。

日光犬軍団、見参!




朝焼けが、そして朝日が石灰棚を徐々に照らします…とのんびりしていると、

こんなお客様が。

あっちにいったり、こっちにきたりと遊びまわっています。野良犬かなあ、噛まれたらヤバいなあなんて怖々距離を取る2人。この頃(6時半ごろ)には「朝風呂」を楽しもうとちょくちょく人も出てきていて、彼らに写真を撮ってもらったりもしたので須賀、犬への恐れを隠さない妻と動じないフリをしながらも引き笑いの夫の姿に、苦笑しながらカメラを向けていたのが印象的でした。


しかし彼らは、何をしているのでしょうか?逆に言うと、私達は何をしているのでしょうか?彼らとの神経戦は、最後まで続きました。

石灰棚に日が昇る

さて、本題の朝日です。

おおっ、昇りましたね!
しかし向うの山から昇る様では絵的にイマイチなので、ちょっとヤラセ工夫して撮ってみます。余談で須賀、新聞記事の街ネタなどでは「工夫して写真を撮る」の美名の下、被写体にある程度のポーズを取ってもらうなどの絵作りをすることがままあります。展覧会の写真に「入場者」として写っている人には、「そこで止まっててくれませんか?」とか「もうちょっと顔をこっちに向けて」なんて注文が飛んでいるケースが多いです。私はキライなのでやりません、なんて言っていると、「あいつは写真が下手だ」という悪評を立てられることもあります。(私の場合は本当に下手なだけだったりします。)

はい、撮れてよかったですね(笑)

地中海の車窓から

さよなら、原田さん

宿には7時半ごろに何食わぬ顔で戻り、朝食をいただきます。8時半過ぎにチェックアウトし、原田さんともお別れです。ミニバスでデニズリに出て、オトガルでアンタルヤ行きを待ちます。言われた停車場の前でたむろしていたので須賀、ちょっとトイレに離れた隙に、目の前にちょっとした人だかりが。集まった兵士たちが、初老の男性と一人一人挨拶しています。なんのこっちゃと眺めていると、周囲の人が「彼は有名な軍人なんだよ」。写真を撮ってくれるというので、兵士と挨拶する男性をバックに2人で記念撮影させていただきましたが、こちらではそういう撮り方が一般的なのでしょうか?

どちらがその男性であるかは言うまでもないでしょう。もちろん服装でも分かるので須賀、仕草というのも非常に多くのことを語ってくれます。

アンタルヤからの乗り継ぎは…

バスは10時過ぎに発車し、アンタルヤに午後2時ごろ到着します。

地中海リゾートとして名高いこの町に立ち寄るのも一興かもしれませんが、ここは先を急ぎましょう。同じく地中海に面する港町・タシュジュからは毎日昼にキプロスへ向かう船が出ており、このタシュジュないし近郊のスィリフケ*2に今日中に辿りつければ、明日スムーズに渡航できそうです。
そんなわけで、アンタルヤ―スィリフケ路線がある、とガイドブックが言っていたバス会社のカウンターに向かいま須賀、「今日はもうないよ」との返事。若干焦りま須賀、最悪夜までに先述の2都市に着かなくても、さらにはフェリーに乗るのが翌々日になっても全く以ってダメなわけではありませんので、「少しでも距離を稼げる方法」を見出そうと、掛け合う相手を探します。しかし細君は諦めきれないのか、さっきのカウンターで「タシュジュ」と連呼しています。多少手分けをしてでも探さないとと思った矢先、通りすがりのおじさんが「タシュジュ?今すぐ来い」とやや興奮気味に話しかけてきます。とりあえず話を聞こうとついて行くと、バスの前へ。聞いてみると、タシュジュではなくスィリフケに行くバスで、発車時刻は午後2時半。これは乗るしかありません。2人で70TL払い、昼食にサンドイッチなんかを買って乗り込みます。連れて来てくれたおじさんには例の源氏物語のしおりを手渡し、車内では乗り継ぎの成功を祝してハイタッチでした。そういえば、昼食を買ってバスに戻る途中、オトガルで喧嘩のようなものが勃発したようでした。争うような声が聞こえた後、周囲の男性たちが一斉に全力疾走を始め、その場に駆け寄ります。細君がかなり怖がったので野次馬は自重しましたが、いったいあれは何だったのでしょうか?

トルコの湘南?

一日で一番暑い時間帯に発車したバスの車内は、不幸なことに冷房が十分に効いておらず、蒸し風呂とは言わないまでも、結構熱気に苛まれます。本当かどうかは知りませんが、バスの電光掲示板の温度表示は42℃。さすがに中がそんな温度ではなかったで生姜、それを見るだけでも参ってしまいます。
その反面、車窓から見える景色は私達に元気を与えてくれました。砂浜、パラソル、ボート、グライダー、ビーチバレー、バナナの木、行き交う水着姿の人々…。


まさに地中海リゾート。言う意味があるかどうか分かりませんが、あえてたとえるならこの道がトルコの国道134号線であり、特にアランヤ周辺が江の島や片瀬海岸のような賑わいでした。
午後6時半ごろ、サービスエリアで休憩です。乗っていたバスは、ホースとブラシが一体化したような道具で洗車され、私達は傍らに座ってアイスを食べながら、その様子を眺めています。途中で走り込んできた黒っぽいセダン車には、日本語で(価格)とか(火)*3とか書かれたステッカーをベタベタ貼り付けてあります。この人たちは意味が分かった上で貼ってるんだろうか。そんな話をしながら車を見やると、運転していた男性ははにかんだように笑顔を向けてきます。そんなほのぼのとした待ち時間。
再びバスは発車し、さらに東に向かいます。車内では、wi-fiのパスワードが分からんだとかあれこれ騒いでいた細君が、その宇宙人的言動からアイドル的地位を獲得しつつあり、隣の男性は細君からガイドブックを借りて眺めたり、身振りで「夕日がきれいだよ」なんてことを教えてくれたりします。先ほどまでとは一転、あちこち赤茶けた大地に、ぼやっとした水平線。そこに、パムッカレの石灰棚で昇ってくるところを見た夕日が沈んでいきます。


先ほどのたとえで言うなら、相模湾沿いを伊豆に向けて走る国道135号線のような雰囲気。もちろん読書ははかどりません。

アナムールのロカンタで

再びバスが停まり、夕食を食べたのはアナムールという街。バターライスに豆の煮込みを載せる定番料理「ファスリエリ・ピラウ」を中心にあれこれいただきます。

これで23TLです。

バナナ売りの店も。同じバスの乗客に1本分けてもらいましたが、おいしかったものの結構青かったです。

スィリフケの宿へ

スィリフケのオトガルに着いたのは午後11時。9時間近い長旅でした。そんな時間にあまり出歩くのもよろしくありませんし、間近にあるホテルに投宿。やや清潔感に劣る印象でしたが、良くも悪くも一晩寝かせていただくだけです。
朝パムッカレを出て、キプロスに渡るタシュジュの目前まで来られたのは上出来でしょう。そんなことを考えながら、12時過ぎに就寝しました。

*1:南極の実物図というのも世間にはあるわけで、ここで「想像」しているのはあくまで私です

*2:「尻拭け」ではない

*3:恐らく曜日を示すものでしょう