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取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

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どこかで見た構図ww 〜日本人が国後島にロシアビザで渡航

国後にロシアビザで日本人渡航、外相「極めて遺憾」、自粛要請の形骸化批判も
福岡市の旅行業者が企画した観光ツアーの日本人客がロシアの査証(ビザ)を取得して北方四島国後島を訪問したことが24日、分かった。岡田克也外相は同日の記者会見で「閣議了解に反し極めて遺憾だ。旅行業者らに厳重に抗議しなければならない」と述べた。
一行は客8人と業者1人とみられ、23日にロシア極東のサハリン州ユジノサハリンスクから空路で現地入りし、月内に戻るという。政府は、日本人がロシアのビザで北方四島を訪問することは、ロシアの実効支配を認めることにつながるとして、平成元年の閣議了解に基づき自粛を要請している。
ただ、自粛を無視しても罰則はない。7月には北海道のメーカー技術者など2人が択捉島に渡っており、政府の自粛要請の無視が常態化しているともいわれている。
北方領土問題に取り組む鈴木宗男衆院外務委員長は「閣議了解が形(けい)骸(がい)化している。私は政府方針に沿って領土返還の現実的な『段階的解決論』で取り組んでいる。渡航についても柔軟な対応が必要で、希望者に特別パスを出すなどの知恵を出すべきだ」と政府の対応を批判した。(2010年8月24日、産経新聞)

北方領土訪問に関するQ&A
(Q1) 日本政府は、日本国民による北方領土訪問に対して自粛を要請しているとのことですが、なぜ日本固有の領土である北方領土を日本国民が訪問してはいけないのですか?
(A1)
(1)北方領土はいまだかつて一度も外国の領土となったことがない、日本固有の領土です。しかし、現実には、北方領土は依然としてロシアの不法占拠の下におかれており、現在、日本はロシアとの間で北方領土返還のための交渉を精力的に行っています。
このような状況の下で、ロシアが北方領土において管轄権を有していることを前提とする行為を日本国民が行うことは、あたかも北方領土がロシアの領土であることを認めることにつながり、北方領土に対する日本の法的立場を害するおそれがあります。
(2)具体的に言えば、日本国民がロシアの出入国手続きに従うこと(例えば、ロシアの査証を取得して四島を訪問すること、無査証であってもロシアの「許可」を得て四島を訪問すること)や、北方四島でロシアの国内法に基づく行動をとること(例えば、ロシア国内法に基づく検疫の実施、ロシア国内法に基づく外国人の滞在登録の実施等)は、ロシアが北方四島において管轄権を有していることを前提とする行為に当たります。
(3)このような考え方に基づいて、日本政府は、北方領土問題の解決までの間、日本国民による北方領土訪問について自粛を求めているものであり、国民の皆様のご理解とご協力をお願い致します。

(Q2) 民間人が北方領土を訪問したとしても、それは自由な交流活動の一環に過ぎず、政府の行動ではないのであるから、北方領土に対する日本の法的立場を害することはないのではないですか?
(A2)
(1)一般的に、領土問題に関する一国の立場は、その国の政府の行為のみによって判断されるものではなく、その国の国民一般の認識と活動という歴史的事実の積み重ねについても相当の重みをもって斟酌されるものと考えられます。
(2)このため、ロシアが北方四島において管轄権を有していることを前提とするような行為が日本国民により積み重ねられた場合、それが民間人の行為の積み重ねであったとしても、日本が北方領土におけるロシアの管轄権を認めていると見なされかねず、北方領土に対する日本の法的立場を害するおそれがあります。

(Q3) それでは、現在行われている「ビザ無し交流」で日本国民が北方領土を訪問することは、北方領土に対する日本の法的立場を害することにはならないのですか?
(A3)旅券・査証なしで、北方四島訪問を実施している四島交流(いわゆる「ビザ無し交流」)については、その枠組みを作る際の日露政府間の文書において、この交流に関連するいかなる問題においても、日露のいずれか一方の側の法的立場を害するものとみなしてはならないという規定が設けられています。
 したがって、四島交流の枠組みによる北方領土の訪問は、北方領土に対する日本の法的立場を害することにはなりません。(我が国国民の北方領土入域問題に関する閣議了解(平成元年9月19日) | 外務省)

日本政府が、北方領土問題に関して政府としての考え方を持ち、そして日本人がロシアビザで北方領土渡航することに対して立場上の懸念を抱いていることは理解できます。しかしまあ、今回旅行された方々までがその立場に立たねばならない理由はないでしょう。彼らは日本政府ではありませんから。もちろんその辺を踏まえた上での「自粛要請」という言葉であって、記事にあるように「自粛を無視しても罰則はない」というのは当然なことです。
日本が韓国との間に抱える竹島問題については、私自身もこんな経験をしてきておりまして、なんだか聞いたことのあるような話だなあ(笑)と思い、論旨はかなり重複するので須賀改めて書いてみました。