かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

北朝鮮竹島イラン旅行記
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こういう時こそ外交・安全保障的「脅威論」に煽られてはならないのでは? など

北方領土>政府、対抗措置を検討…ロシア「自国訪れた」
ロシアのメドベージェフ大統領が北方領土国後島を訪問した問題で、菅直人首相は1日夜、首相官邸で記者団に「今後のことはどういった形で対応するか検討していきたい」と述べ、日本政府として対抗措置を検討する可能性を示した。
これに対しロシアのラブロフ外相は1日の記者会見で「日本の反応は受け入れ難い。ロシアの大統領がロシア領を訪れた(に過ぎない)」と反論。河野雅治駐露大使は同日、ボロダフキン露外務次官を訪ね、国後島訪問は受け入れがたいと申し入れたが、双方の主張はかみ合わなかった。ロシア外務省は同日夜、「日本の申し入れを完全に拒絶した」との声明を発表した。
日本側の対抗措置として具体的には河野大使の召還や一時帰国などが考えられるが、現実には13、14両日に横浜で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を前に「抗議」以上の対抗措置をとるのは難しいとの見方が出ている。仙谷由人官房長官は1日午後の記者会見で「北方四島訪問時の大統領の言動を踏まえて適切な対応を取っていこうということだ」と述べるにとどめた。
メドベージェフ大統領は1日、国後島の古釜布(ふるかまっぷ)(ユジノクリリスク)を約3時間半かけて視察後、モスクワへの帰路についた。【青木純、モスクワ大前仁】
(11月1日、毎日新聞)

漁船衝突 「鮮明に現場映る」衆参予算委理事がビデオ視聴
衆参両院の予算委員会理事らは1日午前、衆院議員会館尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件を撮影した海上保安庁のビデオ映像を視聴した。映像は海保の巡視船「よなくに」(1349トン)と「みずき」(197トン)にそれぞれ中国漁船(160トン)が衝突する場面が映っていた。中井洽(ひろし)衆院予算委員長は視聴後、記者団に「大変鮮明に衝突現場が映されていた。中国漁船がぶつかって来ている状況がはっきり確認できる」と述べた。
ビデオの視聴は衆参予算委員長と理事、同日の衆院予算委集中審議の質問者ら約30人に限定。映像、音声の記録機器や携帯電話の持ち込みは禁止された。
公開されたのは9月7日に撮影された▽「よなくに」の衝突映像3分20秒▽「みずき」の衝突映像3分30秒−−の計6分50秒。
視聴した議員らの証言によると、「よなくに」と中国漁船の衝突時間は午前10時16分。「よなくに」は停船中の中国漁船の周囲を旋回していたが、漁船が突然、網を上げてエンジンをふかし、左旋回して巡視船の左舷船尾にこするような形で衝突。鉄と鉄がぶつかる「ドン」という鈍い音が響いた。漁船はそのまま逃走し「複数の船員が動かずにじっと巡視船を見ていた」(出席者)という。
2回目の衝突では、逃走中の中国漁船に追いついた「みずき」が並走しながら停船を命令。漁船の甲板に船員5〜6人が立っており、船長が操舵(そうだ)室から甲板に出てきて様子を見た後、「平然と戻っていった」(出席者)という。その後、漁船は左にかじを切り、午前10時56分に巡視船の右舷中央に衝突、逃走した。強制接舷や取り調べ、逮捕時の映像は公開されなかった。
視聴後に開かれた衆院予算委員会の集中審議で、自民党武部勤元幹事長は「(中国漁船は)明らかに悪質そのもの。意図して体当たりした。国民に実態を知らしめ共有することが主権国家として大事だ」とビデオの全面公開を要求した。【横田愛
(同上)

中ロと摩擦、菅内閣苦境=「日本挟撃」と韓国メディア
【ソウル時事】ロシアのメドベージェフ大統領が北方領土国後島を訪れたことについて、韓国の聯合ニュースは1日、「菅内閣は中国と尖閣問題で深刻な摩擦が起きている中、ロシアとの領土問題まで重なり、苦境に立たされている」と報じた。
聯合は、メドベージェフ大統領が9月に胡錦濤中国国家主席と共同声明を発表するなど両国が協調を強めていることも日本への逆風だと指摘。中ロが日本を「挟撃」しており、「東アジア情勢は荒波にもまれている」と伝えた。
(11月1日、時事通信)

現象面としてはまさに3つ目の記事が言い得て妙と言わざるを得ない状況で、日本がホスト国を務めるAPECの直前に日本外交は苦境に置かれています。まぁ中国ほどではないと思いま須賀。
その中で私が最も心配しているのは、世論の間に対外的な鬱憤が蓄積して、それが何かにはけ口を求めてしまったり、「対外的危機」の旗印の下で慎重な議論なしに外交・安全保障に関する決定が積み重ねられていくことです。宙に浮いたままの普天間問題、見直し論議が上がる武器輸出三原則、思いやり予算の額の問題、あるいは集団的自衛権憲法9条の改正につながる問題…。「現実化する中国(やロシア)の脅威に対抗するには、日米安保の強化しかない」というような雰囲気の下で、これら様々な論点を抱えた問題が一気に一定の方向になびいてしまうことは、非常に危険と言わざるを得ません。これは別に今挙げたすべての問題で「平和主義的」スタンスを貫くべきだと主張しているのではありません。例えば個人的意見として、武器輸出三原則の理念はともかく、実際の運用面まで金科玉条のように守り抜くべきだとはあまり考えていません。しかし、自分が不十分なのは知っているがそういった個々の問題について、「○○脅威論」や雰囲気に流されず、こういう時だからこそ慎重に考えていかないと、後から大きなしっぺ返しを喰らうことになるのではないかと危惧しています。
あと話は全然変わるんで須賀、「民主党政権の外交は全然なってないじゃないか」という声が日増しに強まってきました。衝突ビデオを一部議員に見せるのに、どんな外交的意図でAPEC前のこのタイミングが選ばれたのかもよくわかりませんし、そんなタイミングでメドベージェフ大統領に国後島を訪問されてしまってどう対処するつもりなのかも非常に興味があります。つまり現政権の外交がよろしくないことは素人の私にも分かるくらいなので須賀、誤解を恐れずに言えば政権交代ってそういう部分も込みだったのかな、という気もします。これまで数十年間にわたってほぼ自民党という一政党が政権の座にあって、機密性の高い外交にも携わってきました。だから民主党政権が出来なくてもしょうがないじゃんということには決してなりませんが、中長期スパンでの本格的な政権交代がなかったということが一つの要因であるようにも思えます。私は二大政党制というあり方をあまり望んではいないので須賀、ともあれ日本の政治が健全な政権交代時代を迎えるためには、一定の外交の質を担保するということも重要な課題だと言えるのではないでしょうか。
最後に一つ。これでどこかから衝突ビデオが流出したら笑えるけどひどいですねwww