かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

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イギリス名宰相物語 (講談社現代新書 (1452))

イギリス名宰相物語 (講談社現代新書 (1452))

イギリス文化や文学を専門とする著者が、ウォルポールからピット(両方)、ワーテルローの英雄ウェリントン、ディズレイリ、グラッドストンロイド・ジョージ、そしてチャーチルと、イギリスの「名宰相」たちの生涯と事績を、豊富なエピソードを交えながらざっくり紹介した本です。小ピットのアル中ぶりや娼婦大好きグラッドストン、ディズレイリのスペル"D'Israeli"の示唆するものなど、ネタとしては結構面白かったです。また、それぞれの首相の出自と絡めて、イギリスの階級社会っぽさも感じることができました。
一方で、あくまでこの本は一口人物伝として読むのが妥当のようで、ちょっと政治を考える題材としてはどうなの的な記述も多くありました。ウォルポールの選挙買収などへの腐敗政治批判を紹介した後で、「そもそもこういう腐敗が悪いという考え方もあるが、少々の腐敗があっても国が安定していればいいという考え方もある。清廉政治の旗印だけでは国は動かないのである」なんて記述があるので須賀、じゃあ北朝鮮金正日体制なんかは著者的にはオッケーなんですか?と聞きたくなってしまいます*1。政治の安定に寄与したウォルポールの功績を評価すべきだという著者の意図は理解するので須賀、イギリスを議会制民主主義の発祥地として紹介しておきながら、その根本たる選挙制度の腐敗が「少々の腐敗」ではその成立に尽くした人達が浮かばれませんね。
あと一つだけ愚痴を言うなら、この著者の書く文は、構文的におかしいものが少なからずあると思います。私は「ら抜き言葉」とかも全然気にしないので須賀、構文がおかしいのはどうも気になるんですよねww まぁ言わんとしているだろうところの意味は大体取れるのでいいんですけど。

*1:ちょっと過激な例かもしれませんがw