かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

北朝鮮竹島イラン旅行記
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実は久々の政治ネタ

政府の行政刷新会議による「事業仕分け」の前半戦が終了しましたね。この作業こそまさに、政権交代により税金の無駄遣いを見直す、という民主党の公約の真骨頂という位置づけのようですし、一般論としてこのような見直しが行われることが長期政権の続いた日本における政権交代の意義であるとともに、大げさに言えば民主主義政治の醍醐味でもあると私は考えています。しかしその一方で、その手法などについては様々な批判が出ていますね。実は民主党政権になってから、ここでその評価について述べたことがないらしいので須賀、今日はちょっと事業仕分けの話を通じてその辺をば。
いろんな批判があります。将来への投資が削られるとか、地方交付税はここにかける問題じゃないとか、一時間で決める話じゃないとか、質問が嫌がらせっぽいとか、なんで民間人があんなに偉そうなんだとか、所管官庁の国会議員が何をしているんだとか、仕分けの中の意思決定方式が不明確だとか、事業の選び方*1が恣意的だとか、だから財務省の陰謀だとか…。それぞれ個別的な問題提起っぽくも見えま須賀、私はこれは同根のものが多いと思うんです。それは、事業仕分けの位置づけについてしっかりしたコンセンサスがない、ということです。

事業仕分けの政府答弁書、仕分け人は「官職に当たらない」
政府は17日の閣議で、概算要求の要否を判断する行政刷新会議事業仕分けワーキンググループについて「行政組織ではなく、メンバーである評価者は官職に当たらない」とする答弁書を決定した。
自民党世耕弘成参院議員の質問主意書に答えた。
(11月17日、産経新聞)

この記事なんかはシンボリックですよね。そこもはっきりしてなかったんかい!みたいな…
まず言うと、この試みには法的拘束力はありません。藤井財相などはこの結果をそのまま反映させたい意向のようで須賀、これはあくまで民間有識者らによる、彼らの見識に基づく問題提起であって、この結果をどう反映させるかはあくまで政治の責任であるべきです。ですから今回厳しい査定がなされた科学技術分野についても、政府として科学技術振興に対してどう臨むのかをはっきりさせたうえで、必要とあらば「今後の国家ビジョンに基づく政治的決断」として大きな予算を付けて、議会に諮っていくべきだと思います。また、思いやり予算地方交付税が仕分けの対象になったことは担当大臣から反発が出ていて、私も、個人的見解として思いやり予算が素晴らしいとは全く思いませんが、この事業仕分けの対象にする性質の問題ではないとも感じています。しかしそれでも、「○○は性質上、事業仕分けになじまない」という理屈が簡単にまかり通ってしまい、あちこちに「聖域」ができてしまうのもよろしくないわけで、どんな事業でも仕分けを受けた上で、政治的に判断がなされるべきだと思います。
その意味で、行政の肥大化を防ぐための一手段、一つのアイデアとして、この仕分けの結果を活用していけばよいと思います。一方で前半の現状を見るに、民間や国会議員の仕分け人が官僚を吊るしあげ、模造紙に「廃止」とでかでかと書く、みたいな政治ショー的な側面が強すぎたことはもちろん懸念材料であって、事業仕分けの結果部分だけでなく、そこでどのような議論が行われたのかを精査したうえで、今後の予算編成に生かされていくべきだと考えています。
最後に財務省の陰謀云々についても付け加えておきま須賀、財務省がこの仕分けに思惑を持って臨むだろうというのは当然推測されることで、まぁ実際財務官僚が論点整理をやっているわけで須賀、これは予算編成過程における仕分けの位置づけ(順序)を含めた、行政刷新会議財務省との役割分担の問題のような気がします。今後この事業仕分けを定期的にやるのかすら定まった見解がないらしいので須賀、その辺も含めた刷新会議と財務省などの間の"事業仕分け"も徐々にしていく必要があるのではないでしょうか。
これまで硬直的かつ安定的だった政府の仕組みを大きく変えることは容易ではありません。そこを運転しながら調整していくことも民主党政権の重要な課題の一つです。