現場を離れて久しい新聞記者のブログ。 読んだ本の紹介や旅行記(北朝鮮竹島イランなど)が中心です。 ブログランキング・にほんブログ村へ

もはや「ニュース」ではないで須賀w

ガス田開発合意 対日関係を重視、譲歩 胡指導部の「政治判断」
【北京=野口東秀】中国政府が東シナ海ガス田共同開発問題で日本側と合意した背景には、胡錦濤指導部の「政治判断」がある。中国側には日中中間線の日本側で共同開発する権利を確保したとのメリットもあるが、「日中関係を重視し、重大な決断をした」(共産党関係者)との考えが強い。胡錦濤国家主席温家宝首相が日中関係が改善基調にあるタイミングの中で最終判断したとみられる。中国ではこの判断について、「中国側の譲歩」ととらえる向きが多く、胡主席にとっては政治的リスクに転じる可能性も残されている。
胡錦濤指導部はこの問題で保守派を押さえ込む構えだ。当然、軍内の強硬派もだ」。18日、中国政府筋はこう説明した。
「海洋大国」を目指し海軍の増強を進める中国では、東シナ海問題を含め、海洋権益を守る盾となる軍の意向は強く反映される。2005年にソブレメンヌイ級駆逐艦が白樺(中国名・春暁)ガス田近くを航行したのは軍事的牽制(けんせい)であり、自国の海だとアピールする狙いと受け止められる。
中国は1970年代に探査を始め、東シナ海を実効支配する過程で90年代には平湖ガス田の生産を開始、2000年には白樺ガス田の開発に着手しており、「日本側が主張する中間線の中国側で開発してなぜ悪いのか」という考えがあった。しかも白樺周辺海域は中国にとっては「表玄関」でもある。
このため、指導部としては、軍内の対日強硬派だけでなく、国内の反日思考の強い活動家や世論から「弱腰外交」「安易な対日譲歩」と批判される可能性を念頭にした上で判断した。中国外務省が17日の段階で「春暁は中国の主権の範囲内。主権問題と共同開発問題とは無関係」と強調したのも、対日譲歩ではないことを国内向けに訴える必要があったからにほかならない。
指導部は、日中間での首脳往来が定期化し、しかも四川大地震への日本側の対応により中国側の対日感情が和らいだタイミングをみて判断したとみられる。自衛隊艦艇が来週、中国に寄港し、軍事交流の象徴となることも踏まえているようだ。
胡主席は軍掌握度を徐々に高めており、米国の台湾への武器売却が足踏み状態となったことも指導部が東シナ海問題で軍を説得できる材料との指摘もある。
日中外交筋によると、5月の胡主席の訪日で合意した日中共同声明について「もろ手を挙げての賛成ではない」とする勢力が中国国内にあり、指導部がその「戦略的互恵関係」の「具体的成果」として見せるため、四川大地震で日本の救援隊を一番乗りさせたり、今回の東シナ海問題で合意したりする必要があったという。
(6月19日、産経新聞)

上の記事にあるように、今回の合意は中国側の対日関係重視の判断によるところが大きい、というのはいろんなところで見聞きしましたが、逆にそれがなぜなのかにまで触れているものは意外と少なかったですね。私が思うに*1、やはりこれはチベット問題によって厳しさを増した国際環境を多分に睨んだものだと思います。
状況証拠には事欠かないでしょう。世界各国での五輪聖火リレーへの抗議活動や、開会式への首脳の出欠が完全に政治的なアジェンダになってしまった事実。日本ではその後の四川大地震でちょっとかすんでしまった感はあるものの、いまや経済大国となった中国への人権・環境面への批判は、よりによって五輪開催の時期に高まりつつあるわけです。その状況を打開するためにも、改善しつつある日中関係にさらなるてこ入れを試みた、という背景は想像に難くありません。
それにちょっと*2思い出してみれば、1989年の天安門事件で中国がいわゆる西側各国と緊張関係に陥った際、中国が外交上の突破口にしたのも日本でした。1992年に実現した今上天皇の訪中も、その線上で理解できるんだと思います。
ですから私はこのニュースを聞いたときに、大学で習った当時の経緯をふと思い出しました。国際政治における決定に関する議論で「政策決定者は以前の類似ケースの成功例に依存する」みたいな話もあるそうですし、中国の現政権も多少なりともその辺の経緯を意識したんでしょうかね?
ちなみに北朝鮮テロ支援国家指定解除の方なんで須賀、みなさんおっしゃってる通り拉致問題の進展という意味では難しくなるんでしょうね。そもそも先日の日朝間の再調査合意も、指定解除へ向けたアメリカへのポーズという意味合いももちろんあるでしょうし、そう考えれば指定解除が現実となった時点で、日本に対する態度を硬化させることだって十分考えられます。しかし核問題そのものも日本にとっては重要な問題ですからね…どうやら動き出したらしい北朝鮮の核問題。注目です。

*1:別にそんなオリジナリティのある見解ではないですけどねw

*2:当時を、ではなく大学の講義をww